大学3年生にしてnoteに投稿した記事「現役女子大生のインスタ消費文化論」をバズらせ、ネット業界で一躍有名人になった「りっちゃま」こと三田理紗子さん。爆発的に記事が拡散される一方で、読まれれば読まれるほど苦しみが増したという。プレッシャーに押しつぶされ、心を閉ざしかけたとき、三田さんが見出した活路とは。

三田理紗子(みた・りさこ)
大学生・ライター
三田理紗子 法政大学社会学部3年生。noteに投稿した「現役女子大生のインスタ消費文化論」がネット上で話題になり、一躍有名に。現在は、Business Insider Japanでインターンシップとしてライターの活動も行う。

記事を書いたのは架空の私 バズるほど苦しかった

 法政大学社会学部3年生の三田さんが、文章やイラストなどの作品を投稿できるウェブサービスnoteに投稿を始めたのは2018年のこと。それからわずか3カ月後、「現役女子大生のインスタ消費文化論」と題した記事が瞬く間にバズり、三田さんは一夜にしてネット上で有名人になった。

 きっかけは、あるインフルエンサーの「学生目線でインスタの活用法を書いてほしい」というツイート。その人を喜ばせたいという純粋な気持ちで、インスタに関する記事を読み漁り、不足情報を書き出した。noteの人気記事をまねして考察をまとめた。

 「記事を公開したら、読んでほしいと思っていたインフルエンサーの人以外からのコメントが次々に届きました。『この文章は読み応えがある』『法政で一番キテる学生』『令和世代すごい』と、身の丈に合わない称賛ばかりで……。正直なところ現実の自分との乖離(かいり)が激しく、読めば読むほど落ち込みました

 自分はインフルエンサーの要望に応えただけ。それなのに外部から実力以上の評価を受け、「架空の私」がネット上で独り歩きをしていた。次はもっと頑張って「いいね」を集めなければとプレッシャーに襲われ、気分はアップダウンの繰り返し。「次はどんなことを書こうか? 読者が求めていることは何?」「次も面白い記事を書かなきゃ……」。焦りと不安とで胸がいっぱいになり、自分で書いたnoteの記事に、誰よりも自分が苦しめられることになった。

 しかし、その記事がきっかけでさまざまな分野のインフルエンサーに出会えた。 「多様性が認められている今は、自分が『何者』であるかを自ら定義しなければならない時代。私もその流れに引っ張られている一方で、『楽しければいいや』と緩く考えてしまう日もあります。でも記事を出した結果、いい意味での劣等感を抱けたし、自分ももっと輝きたいと思えるようになりました」。

多様性が認められている今は、自分が「何者」であるかを自ら定義しなければならない。そんな中で、自分ももっと輝けるよういろんな経験を積みたいと思いました
多様性が認められている今は、自分が「何者」であるかを自ら定義しなければならない。そんな中で、自分ももっと輝けるよういろんな経験を積みたいと思いました

 noteの記事で一躍有名になった三田さん。Twitterのフォロワーも2000人を超え、インフルエンサーとして注目される中、彼女の心の中には確固たる思いがあった。「周りには、思考停止状態な学生が多いと思う」。その言葉の背景には、「大手企業に就職することが学生のゴールではない。学生には、いろんな選択肢があることに気付いてほしい」という訴えがある。