新卒で電通へ入社、フランス系外資企業に転職したのち、2018年FABRIC TOKYOに入社、パラレルキャリアで起業。森本萌乃さん(29歳)がこれから挑戦したいこと。

森本萌乃

もりもと・もえの

MISSION ROMANTIC代表/FABRIC TOKYO プランナー

プランナー
複業起業家

1990年東京生まれ。中央大学法学部政治学科卒業、うち1年間ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジに留学。2013年に電通に入社しプランナーとして4年間従事したのち、転職でMy Little Box、FABRIC TOKYOに携わりながらパラレルキャリアで2019年2月MISSION ROMANTICを創業。3カ月かけて1つの出会いを演出するスローなマッチングサービス「MISSION ROMANTIC book」をリリース。「理屈のないことを大切に、ロマンチックに生きていきたい」。FABRIC TOKYOでオーダーしたメンズスーツを着て。

 梅雨の終わり、代々木駅からほど近いFABRIC TOKYOの本社を訪ねると、弾けんばかりの笑顔の森本萌乃さんが扉を開けてくれた。オープンスペースで取材を始めた途端、そばを通りかかった長身の男性に声を掛ける。「今取材を受けているんです~!」。その言葉に振り向いたその人は同社社長、森雄一郎さんだった。森本さんは小声で「森は本当にいい指導者なんです」と教えてくれた。

もとの志望は劇作家。とにかく舞台が好きだった

 森本さんは、もとの志望は劇作家だったそう。なぜ劇作家になりたいと思ったのだろう。

 「私の両親が文化的資産に対する投資を惜しまないタイプで。中学生の頃から蜷川(幸雄)さんの舞台とかを見たりして。すごく好きでした」

 森本さんが舞台の魅力に憑りつかれたもう一つのきっかけ。それは高校で偶然入ったチアダンス部だった。チアにはまり、中央大学ではソングリーディングのサークルを立ち上げた。「この部が強くなって、今では全米大会に出場するほどのレベルまで育っているんです。私の人生一番の成果はこの部を立ち上げたことだと思ってます」と豪快に笑う。

 たった2分半の舞台のためにメンバー全員が一丸となってひと夏を捧げる。本番後、「やってよかった」という思いに満たされ、絆が生まれる。「あの感覚がたまらなく好きでした」

 大学3年生のとき、劇作家の道に進むべくロンドン大学ゴールドスミス・カレッジに1年間留学。ミュージカルを約60本見まくった。「でも、」と森本さん。「クラスメートは奇才ばかり。実際、今、俳優として活躍している人もいます。その現実に直面して、私は作品を生み出す側ではなく、既に世にあるエンターテインメントがどれだけ素敵かを社会に伝える側に回ったほうがいいと思って帰国しました」

帰国して電通へ、そこでの経験や人との出会いは財産

 作る側ではなく伝える側になろう。そんな思いを胸に帰国した森本さんは、電通から内定をもらった。

 「内定を頂いてから、本当にこの会社でいいのかなって思って、電通の正面ゲートを往来する社員を30分くらい観察したんです。そしたら、電通のゲートを出てくる人たちが、しわくちゃのワイシャツ姿や充血した目で、大事そうに書類とかパソコンを抱えていて(笑)。私もこのくらい心を込めて考え事をしたいなって、グッときました」

 電通入社後は、(当時の)プロモーション事業局に配属。「すごく充実した日々でした」。2年目に入り、自身の企画が通り始めた頃に思ったのが「(私はこれからずっと)企画とローンチを繰り返して死にたい」ということ。年次とともに仕事への責任感を身に付け、企画の通し方も少しずつ覚え、4年目には、イベント当日に200人規模の関係者を統括しインカムで次々と指示を出すような大きな現場も経験した。

 「めちゃくちゃ楽しかったんです。でも……」と当時を振り返る。