身近なものに喜びを感じ、日常にヒントを探す

── 作品作りはもちろん、仕事に役立ちそうなネタやヒントは、どのように探していますか?

村瀬 身近なものに喜びを感じるタイプの人間なので、例えば電車のなかで広告を見ていい言葉や面白い表現を探したり、乗客の方々を観察して「今、ここで〇〇が起きたら……」とシチュエーションに思い巡らせたりしています。

 ミラクルより日常、明日につながる今日を大切にしたい。例えば、自分が今持っている鉛筆をちょっと回したらそれが魔法の杖だった、なんて、身近なところにワクワクがあると、みんなうれしいんじゃないかなと。

── 今の仕事の面白さについて、どのように考えていますか。また、今後の目標は?

村瀬 テレビアニメや映画のプロデュース、制作の仕事は、「人間にしかできない仕事」だと思うんです。AIが進んでいるとはいえ、ゼロから1を作るということは、今のところ人間しかできないし、それに、「人間が見るものは、人間が作るべき」ではないかと。例えば、プロデューサーと監督のどちらかが違っても、掛け合わせが違えば、同じ物語でも全く違うものが出来上がる。そんな面白さにも出合えるんです。

映画館で新しい出合い、気付きがある、そんな作品を送り出していきたい
映画館で新しい出合い、気付きがある、そんな作品を送り出していきたい

 今は、改めてアニメに魅力を感じています。日本のアニメは、世界でとても人気を集めています。特にアニメ映画はどんどん作品数も増えて、子ども向けと言われてきた時代とは違い、大人が見ても楽しめるものもたくさんある。今回の映画も、キャラクターを描く作画や背景美術といった映像美、友達との出会いと別れといった絆や友情を描くストーリーなど、見る人によって注目するポイントが全く異なり、どんな人でも映画館で「未知との遭遇」ができる。そんな作品を目指しています。