「伝える」ことが第1歩。「それもあり」の精神で、皆と作品を作り続けたい

 私がこの仕事に向いているかどうかは、自分ではよく分かりません。でも、「面白いことをやろうよ!」と周りを巻き込む能力は高いと思いますし、好きです(笑)。これは、学生時代、演劇部やバンド活動で、みんなで何か1つのものを作るという経験をしてきたことが大きいのかなと。

 実は私、映像を見るのは好きなのですが、本を読むのはあまり得意じゃないんです。でも、台本をみんなでワイワイ言い合ってブラッシュアップしていくのは好きで、まさに演劇部でやっていたことなんです。今の仕事は、これまで自分がやってきたことの延長線上にあるんだなと改めて思います。

 あとは、誰に対しても恐れず、「まずは伝えてみる」ことにしています。今回で言うと監督や宣伝担当の方だったりしますが、伝えることが「初めの一歩」となる。映画の紹介でも、「星から星へとつなげて星座を作るように」という言い方をしていますが、1から2へ、2から3へ。人や仕事をつなげていく先に、作品の完成がある。そしてその先に、お客様がいる。

 たくさんのアニメを見てきましたが、私は、見てきたものや経験してきたことから、新しい何かを生み出していくタイプのようです。次回作の企画も始まっていますが、「数年後の将来、こういうことがやりたい」とか、まだ明確に見えていません。でも遠い未来に悩まず、ヘンに飾らず、今を強く生きる。いろいろな人たちと話をして、時には意見が違っても「それもあり」の精神で、みんなで作品を作り続けていきたいと思っています。

ミラクル(ハートマーク)スターライトを手にする村瀬さん。入場特典として中学生以下に配布されるミラクルライトは、『映画プリキュア』シリーズの定番
ミラクル(ハートマーク)スターライトを手にする村瀬さん。入場特典として中学生以下に配布されるミラクルライトは、『映画プリキュア』シリーズの定番

取材・文/平島綾子(日経エンタテインメント!編集部)撮影/清水知恵子