現在公開中の『映画スター☆トウィンクルプリキュア 星のうたに想いをこめて』。2004年にテレビアニメ『ふたりはプリキュア』が始まって以来16年間続く、大ヒット&長寿シリーズの19年秋の映画化を任されたのが、入社4年目の東映アニメーション・村瀬亜季さん。今、エンタテインメント界で最も注目されるジャンルの1つとなったアニメ業界で、20代の若さでプロデューサーとして現場の最前線に抜てきされました。今の仕事を選んだ経緯、そして仕事への考え方を聞きました。
アニメプロデューサー
テレビシリーズをベースに「映画」だからこそできる物語を届けたい
── 2004年に始まったアニメ『プリキュア』シリーズ。「女の子だって暴れたい!」をシリーズコンセプトに、「普通の中学生女子が妖精から頼まれ、伝説の戦士“プリキュア”に変身。アイテムを使って敵と戦う」というストーリーで、今までにテレビシリーズ16作、映画27作が作られてきました。近年は、「スイーツ」や「子育て」、星座をモチーフに異星人との交流から「多様性」をテーマにするなど、時代感を取り入れた作風が話題を呼んでいます。
同作で、入社3年目、20代にして映画のプロデューサーに抜てきされた村瀬さん。『映画スター☆トウィンクルプリキュア 星のうたに想いをこめて』は、どのように作っていかれたのでしょうか。
村瀬亜季さん(以下、村瀬) プロデューサーの話をいただいたのは、約1年前です。『プリキュア』の映画は年2本あって、2019年春公開作は過去作も含め3世代のプリキュアが集合する映画だったので、秋公開作は同年の春から始まる新しいテレビシリーズのキャラクター単独の物語にしようと思いました。ただ、当時テレビシリーズは放送が始まっていなくて。そこでまず、「映画が公開する頃、キャラクターはどう成長しているのか」など、質問をざっとリスト化してTV担当の柳川プロデューサーを訪ね、「答えられるものだけでいいので」と、とにかくヒアリングしました。
テレビシリーズの企画書やシナリオをみて「ロマンチックな星空」「うた」というキーワードを連想し、ヒアリングの結果、「映画では歌をキーにしよう!」と決めました。
今作の田中裕太監督が以前演出を担当した『ドキドキ!プリキュア』(13~14年)の40話で、キュアソードが歌いながら大切な人へ語りかけていくシーンが個人的にすごく印象的で。田中監督ならば、“歌で物語を引っ張る”映画をまとめあげてくれると思い、オファーしました。