転職を考え始めたときに、副店長に抜てき

 高橋さんは、新人時代から「あること」にこだわっていたといいます。それは、常に顧客の立場に立って考えること。

 「単に『商品が売れればいい』といった発想ではなく、相手に関心を持ち、その人のニーズに合うものを提案していました。人は『自分のことを考えてくれている』と感じればうれしくなりますし、『またこの人から買いたいな』と思いますよね。

 だからさりげない会話の中から、相手がどんなライフスタイルで、どんな立場にある人なのかといった『背景』を理解し、なるべくたくさんの情報を拾えるようにアンテナを張っていました」

 顧客の立場に立ち、試行錯誤しながら売り上げを達成する販売の仕事に、やりがいを感じていた高橋さん。しかし同時に、「長期的なキャリアが描けない」ことにも悩み始めていたといいます。

 「アパレル販売の仕事は楽しいけれど、長く活躍できるイメージが持てなかったんです。本社に異動してキャリアアップを狙う方法もありますが、そうなると、お客さんと接する機会がなくなってしまう。また給料があまり高くなかったので経済面でも厳しさを感じ、転職を考えるようになりました。『売るものが洋服でなくてもいいのでは?』と思い始め、視野を広げてみたくなったんです」

 しかし「転職」という選択肢が頭に浮かんだ頃に、高橋さんは新規オープンする店舗の副店長を任されることに。レディース売り場の責任者として一から店づくりを行い、売り上げも出していかなければいけない立場になりました。

「相手に関心を持ち、その人のニーズに合うものを提案していました」
「相手に関心を持ち、その人のニーズに合うものを提案していました」