「専門性×業務改善の実績」をアピールし、転職へ

 藤原さんは、29歳のときにはアンチマネーロンダリング(AML:金融犯罪を防止するための対策)の仕事も任され、ロンドンや香港にある海外拠点とも頻繁に仕事をするように。「この頃には昇給と昇進を繰り返し、年収は派遣社員の頃と比べると3倍近くアップしていました」

 そして31歳ごろには、「今後はAML分野を専門にして活躍していきたい」と思うようになり、キャリアアップのために転職することを決意。転職サイトに登録後は、希望する仕事ができる外資系の投資銀行1社だけに絞って応募したのだと言います。

 「面接では、能動的に仕事に取り組み、業務改善をしてきた実績と、AML分野で活躍してきた専門性をアピールしました。外資系の会社だったため、英語面接のための対策本を買い、その回答を覚えて面接に臨むなど、対策も万全に行いましたね」

今の職場での評価は、転職にも影響する

 専門性と業務改善の実績を評価されて内定を獲得し、転職時には年収1000万円を達成した藤原さん。「同業界内での転職の場合、それまでの評判が人づてに伝わることも多いです。入社後に聞いた話なのですが、私の場合も、元いた会社の先輩と、応募先の企業の方が知り合いで、先輩が私のことを推薦してくれたという経緯がありました」

 会社は変わっても、今の職場での評価が、次の職場へ伝わる可能性はあります。「そのため、今いる場所で積極的に仕事に取り組み、語れる実績を残す。今の仕事に対する姿勢が、次のキャリアをつくるという意識を持っておくことが大切です」

 続く下編では、外資系投資銀行に転職してからの挫折と、そこから学んだ教訓。そして「転職成功と年収アップに必要なたった1つのスキル」など、これからのキャリア形成と転職に役立つ情報をたっぷりとお伝えします。

取材・文/青野梢(日経xwoman doors) 写真/本人提供

藤原淳
wami career代表
藤原淳 日本の4年制大学を卒業後、米国大学へ留学。帰国後、金融業界で派遣社員としてキャリアをスタートする。その後、11年間にわたり日系・外資系投資銀行で管理職としてチームをマネジメントし、海外勤務も経験。2017年にキャリアメンターとして起業。2019年にオンライン転職サポート wami careerを立ち上げる。Twitter