自分のことを「社会不適合者」と思っていた

 「実はもともとコミュニケーションが苦手で、社会人になってからずっと職場での人間関係がうまく築けないことが悩みでした。相手に気を使い過ぎたり、反対に自分の意見を強く主張したりすることで周囲とぶつかってしまい、職場にうまく溶け込むことができなくて。そんな自分のことを、私はずっと『社会不適合者』だと思っていました

 また、事務職として長年働いていたものの、仕事に対しても苦手意識があったといいます。

 「事務の仕事は、複数のことを同時に手際よく処理することが求められますが、私はマルチタスクが苦手。一度にいろいろなことを頼まれると、頭が混乱してうまく仕事をさばくことができなくて。だからずっと、『向いていないな』と感じながら事務の仕事をしていました。当時の上司からも、『あなたは集中力があるから、自分のペースで1つのことにじっくり取り組めるような仕事が向いていると思う』と言われていましたね」

 仕事内容と人間関係への苦手意識から、当時勤めていた組織の中に居場所がなくなっていった小坂さん。やがて、退職を促されるという事態に直面しました。「経営難による人員削減という形での解雇でしたが、おそらく人間関係をうまく築けなかったことも原因の一つだったと思います。仕事を失うことになり、このときは人生で一番落ち込みました」

 しかし、これが人生最大の転機になったといいます。

人生最大のピンチが、転機に
人生最大のピンチが、転機に