転職を後押しした出来事とは?

 「あるとき、その女性が資格取得に向けて勉強しているという話を聞いたんです。彼女は長く働いてくれている方で、仕事も生活も安定していて、子育てもしている。その状況の中で、『新しいことにチャレンジしているなんてすごいな』と思ったんです。転職を考えていることを打ち明けると、『店舗にとっては打撃だけど、自分の人生のためにぜひ挑戦してほしい』という前向きな言葉をもらって。それが後押しとなり、転職を決意しました」

 もともとメイクや化粧品などが好きで、美容業界に興味があったという根本さん。コロナ禍でSNSやウェブから美容に関する情報を知る機会が増えたことで、商品広告の打ち出し方や、ユニークなPR手法などにも興味を持つようになったのだといいます。

 「例えば、SNSの動画広告などで『どうせ広告なんて見ていないと思いますが……』という文章からあえて入り、その内容に興味を持たせる手法など、商品をPRする方法はいろいろあって、工夫の余地がある面白い仕事だなと思ったんです。

 また、コロナ禍でオンラインストアを利用する人が増えたので、実物を見ない状態で商品に興味を持ってもらう方法を考えるのも楽しそうだなと感じ、美容関連の商品をPRできる広報の仕事に就きたいと思いました」

同じ店舗で働く女性が資格取得にチャレンジしているのを知って、根本さんも転職を決意
同じ店舗で働く女性が資格取得にチャレンジしているのを知って、根本さんも転職を決意

転職に向けて資格試験にチャレンジ

 美容業界の広報職にチャレンジすると決め、上司に退職時期の相談をした根本さん。「仕事に対して不満がない中で退職時期を決めずに転職活動をすると、『まだ決まっていないくても大丈夫』という気持ちで転職活動してしまうと思ったため、先に退職の意思を伝えました」

 同時に、『日本化粧品検定』の資格取得に向けて勉強も開始。「化粧品は好きでしたが成分などの専門知識はなく、未経験から美容業界に転職するので、少しでも美容に関する知識を付けたいと思い、資格試験にチャレンジしました」

 そして仕事をしながら空いた時間で勉強を進め、約半年後には日本化粧品検定2級に合格。「新しい知識を得ることの楽しさや、チャレンジすることの面白さを実感しながら資格を取得できたので、転職活動を進めていく上での自信にもつながりました

 一方、懸念していた退職後の店舗運営については、一緒に働くパート従業員たちが支えてくれたといいます。