スカウトメールが届き「勢い」で転職

 初めての転職活動では、まず大手の転職サイトに登録。サイトに掲載されている会社で、気になる会社があれば口コミ情報などを調べ、数社に応募したといいます。

 しかし、ある日、転職サイトが提携するエージェントからスカウトメールが届き、柳沢さんの転職活動は急展開を見せます。

 「研究・開発をしていた経歴に目が留まったようで、大手美容機器メーカーから面接オファーがありました。知っている商品を開発している企業だったので興味を持ち、面接に行くと、トントン拍子で内定をいただいて。美容商品の開発に携われることがうれしくて、当時は『勢い』で転職したんです」

「美容商品の開発に携われることがうれしくて、当時は『勢い』で転職しました」
「美容商品の開発に携われることがうれしくて、当時は『勢い』で転職しました」

激務により1年で体重が8kg増加

 自動車機器とは全く違う製品の開発に携わるため、入社後は必要な知識を必死で勉強したという柳沢さん。

 「美容家電の開発プロジェクトに携わることになったので、電気については基礎から猛勉強しました。また、プロジェクトリーダーを任されたため、プロジェクトの進捗管理はもちろん、競合他社の調査や機能の決定、性能評価など、企画から開発までをトータルで担当しました」

 新しい分野での研究開発と、プロジェクトリーダーという責任。残業は毎日22~23時ごろまで続き、休日にも出勤していたといいます。

 「激務で生活リズムが乱れ、1年で体重が8kg増加しました。休みも満足に取れない状態だったので、リフレッシュすることもできず、精神的にも肉体的にも追い詰められていきました」

 さらに入社後は、「イメージと現実のギャップにも悩んだ」と柳沢さんは続けます。

 「『世の中にない新しいものを作りたい! それができる進歩的な会社だ』と思って入社したのですが、実際には既存商品の類似品しか開発を認められず、どれだけ試験を重ねて安全性を証明しても、画期的な商品の企画は通りませんでした。

 また、社内調整にもたくさんの時間と労力が必要で、人の入れ替わりも激しく、外側から見た『企業イメージ』と『現実』とのギャップが大きかったので、入社から8カ月後には、『プロジェクトをやり遂げたら退職しよう』と考えるようになりました」