コロナ禍で仕事がなくなり…窮地を脱するためにとった行動は?

 「前職での主な営業先は、フィットネスクラブやスポーツジムなどでした。そのため2020年の年明け以降にコロナの感染拡大が始まると、営業先の7~8割が広告出稿を控えるようになり、私が携わっていた月刊誌も2~3カ月は休刊。一時的に仕事がなくなる状態になりました」

 さらに、2020年の4月7日には東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県に緊急事態宣言が発令され、スポーツジムなどの各店舗が休業。広告の再開が見込めないと判断した会社は、広告費以外の収入源を確保するために、フィットネスクラブに通えない一般客向けのオンラインイベントを立ち上げる方針を固めました。

 「私は新卒入社した会社が総合フィットネスクラブで、そこで6年ほど店舗運営などに携わっていました。フィットネスクラブの店舗運営経験があり、広告営業や編集の仕事を通じてインストラクターたちともつながりを持っていたので、私がオンラインイベントの企画運営を任されることになったんです」

 コロナ禍という予想もしていなかった事態と、それに伴う急な仕事の方向転換に、「戸惑いはありました」という工藤さん。

 「でも、『やるしかない』という気持ちのほうが大きかったです。コロナ禍で仕事を失ったフリーランスのインストラクターたちを知っていたので、オンラインイベントをすることで、少しでも役に立てればと思いました。

 また、業界誌を発行しているメディアとしても、フィットネス業界の働く環境をよりよい方向に整えていくことの重要性も感じていました。だから当時は、戸惑いよりも『このままじゃいけない』という思いのほうが強かったんです」