多くの報道番組で活躍する小川彩佳さんに、キャリア形成の秘訣を聞く連載企画「アナウンサー・小川彩佳のnext doors」。今回は、小川さんのターニングポイントやキャリアの壁の乗り越え方をお伝えします。

「自分探し」をとことんした大学時代

―― 小川さんの「ターニングポイント」はいつでしたか?

小川 大学1年生でアナウンススクールに通い、3カ月ほどたった頃ですね。当時の私は夢をかなえたい一心で、大学生活よりもアナウンススクールを重視しようとしていました。でも講師の先生に、「自分の食指が動くこと、好奇心に駆られること、心を動かされることを体験して自分探しをしなさい」と言われたんです。

 夢を持ち続けることは大切ですが、猪突猛進になると周囲が見えなくなり、目的を見失ったり、空回りしたりするときってありますよね。そうならないためにも、まずは自分の視野を広げておく。一つの感覚を研ぎ澄ませるのではなく、さまざまな情報をキャッチできる『大きなパラボラアンテナ』を持つことが最終的に自己実現につながるのだと気付きました。

「目標に向かって努力することも大切ですが、自分の好奇心に従ってさまざまなことにチャレンジすることのほうが、大切だと気が付きました」
「目標に向かって努力することも大切ですが、自分の好奇心に従ってさまざまなことにチャレンジすることのほうが、大切だと気が付きました」

キックボクシング、日本舞踊、留学… 何でも挑戦

―― そのアドバイスを受けて、どんなことにチャレンジしましたか?

小川 スペインへの短期留学や海外旅行、日本舞踊の試験を受けるなど、思い付いたことからどんどんトライしました。特に面白かったのはキックボクシングですね。「私って、意外と打たれ強いんだなぁ」と、新しい発見もありました(笑)。

 大学1年生の頃は、アナウンサーになるためなら勉強時間も自由な時間も制限する覚悟でいましたが、今振り返ると自分探しのほうがずっと大切だったなと思います。社会人になると平日は仕事で忙しく、休日は疲れを癒やすので精いっぱい。新しいことにチャレンジするのが本当に難しくなったな、と実感しています。

I Have Confidence――映画から勇気づけられることも

―― 仕事で失敗したり落ち込んだりしたときは、どうやって気分転換をしていますか?

小川 映画を見ています。ストレス発散と勉強のために、週に2~3本くらい。壁にぶつかったときの心の支えは『サウンド・オブ・ミュージック』。ストーリーの中で、主人公が不安な気持ちを振り払うように、「I have confidence」と歌を歌うシーンが大好きで。主人公のその姿を見て、自分を鼓舞しています。

 学生の頃から毎年楽しみにしていたロックフェスも、私にとってはエネルギーチャージの場。大学時代にさまざまな体験をしてみて、「これは自分にとって欠かせない」と感じたものは、社会人になっても続けるようにしているんです