「同期と比べて自分は…」悩んでいたことも
―― 憧れの職業に就いてうれしい一方で、入社して1~2年の頃は悩み事も次々に出てきますよね。そんなとき、誰にアドバイスをもらいましたか?
小川 アナウンス部の先輩方です。入社した頃、私は「人に誇れるものがない」「個性がないから覚えてもらえない」と落ち込んでいました。同期入社のアナウンサーが二人とも個性的な男性で、周囲の人にすぐ覚えられていて羨ましく思うこともあったんです。
ですが、先輩が「自然体で一生懸命仕事に取り組めば、周りの人が『個性』を見つけてくれるから大丈夫。安心して頑張って」と声をかけてくれたんです。「周りの人と自分を比較したり、奇をてらったりしなくていいんだよ」と言ってくれた先輩もいました。ありのままの私を受け入れてくれた先輩方には、今も心から感謝しています。
新社会人へアドバイス「目に映るすべてを楽しんで」
―― 自分が先輩の立場になった今、新社会人にどんな言葉を贈りたいですか?
小川 「目に見えるすべてを楽しんで」ですね。社会人になると、目の前に見たことのない景色が広がり、学生時代には縁のなかった人たちに出会えます。ビジネス書などを読んで心の準備をしたり、インターネットで仕事内容を調べたりしているかもしれませんが、まずは一度リセット。出会うもの・人・仕事、すべてにまっさらな気持ちで向き合うことが大切だと思います。
でもそれって、新社会人だけに言えることではないんですよね。キャリアを重ねても、まだ見ぬ景色はあちらこちらに転がっている。だから私も年齢に関係なく、いつまでも新しい世界に目を向けられる自分でいたいと思います。
「報道に携わる」という夢をかなえた小川アナにも、理想と現実のギャップに悩んだ新人時代があり、先輩からの助言に救われた日々がありました。私たちも悩みや苦労を糧にして、自然体の自分でキャリアを重ねていきたいですね。
取材・文/華井由利奈 写真/大槻純一 構成/浜田寛子(日経doors編集部)