多くの報道番組で活躍する小川彩佳さんに、キャリア形成の秘訣を聞く連載企画「アナウンサー・小川彩佳のnext doors」。フリーになり、これから新しいキャリアに進もうとしている小川さん。今回は、ご自身の新人時代を振り返り、20代の頃に抱いていた悩みや、心が救われた先輩からの一言についてお伝えします。

「報道に携わりたい」 1年目からずっとこの気持ち

―― 社会人1年目の頃、どんなことを考えて仕事と向き合っていましたか?

小川 憧れのアナウンサーになれた喜びが大きく、入社当初は「何でも挑戦したい!」と思っていました。でも、冷静になって心の中を見つめてみると「報道に携わりたい」という強い気持ちがあったんです。報道現場からリポートをするときも、スタジオでニュース原稿を読むときも、「視聴者の方々から厚い信頼を寄せてもらえる人でありたい」と思っていました。

「入社当初から、『報道に携わりたい』という強い思いがありました」
「入社当初から、『報道に携わりたい』という強い思いがありました」

―― 報道に魅力を感じていたんですね。具体的に、どんな番組にチャレンジしたいと思っていましたか?

小川 報道番組といえば、朝・夕方・夜の放送が中心ですが、その中でも特に魅力を感じていたのが夕方と夜のニュース番組です。「一日の仕事を終えて疲れている視聴者の方々が、穏やかな心境でニュースを聞けるように」と、低めの声を出す練習をするなど、声のトーンを研究していました。

理想は「人間味あふれるアナウンサー」

―― 「こんな人になれたら……」と尊敬するアナウンサーはいましたか?

小川 ニュースを、泰然としたたたずまいで丁寧に伝えながらも、時折その人肌の温もりのようなものが漏れ伝わる伝え手に魅力を感じていました。例えば、小宮悦子さんのたたずまいが好きでした。平日の夕方に放送されている『スーパーJチャンネル』という報道番組でメインキャスターを務めていらして、どんなときも冷静沈着だったんです。でも、小宮さん自身の気持ちが揺れると、時折表情に出たり、涙されたりすることもあって……。その姿も印象的で、「私の気持ちを小宮さんが代弁して下さった」と思って番組を見ることもありました。

 それから、アナウンサーではありませんが、NHK『クローズアップ現代』(現在は『クローズアップ現代+』)でキャスターを務めていらした国谷裕子さん。ジャーナリスティックな鋭さと、優しさが同居した語り口がすてきだな、と感じていました。