【ぬ】縫い目がない

 手術をしてびっくりしたこと、それは「全摘した後の縫い目が無かったこと」です。イメージでは傷の上から斜めに糸で縫ってあるのかなと思っていましたが、切除した部分の傷は、皮膚でピッタリと閉じられています。

 ぱっくり開いてしまうのでは……と不安でしたが、その心配はありませんでした。今は、切った傷痕が斜めに15センチ程残っています。初めは見るのが怖かったけれど、今は一つ乗り越えた証しだと捉えていて、早く傷が薄くなってほしいなと思っています。

【ね】猫

 生まれてからずっと、私の人生でなくてはならない存在の一つは「猫」。いつも気付けば猫がそばにいる暮らしをしています。

 猫はきっと私が病気になったことや、日々起きる悲しいことうれしいことなんか知らないはず。でも、落ち込んでいる時や辛くなった瞬間、いつも支えてくれたのは、すり寄ってきてくれた猫たちでした。

 抗がん剤の副作用でぐったりしてしまいベッドに横になっていた日も、何も知らない猫たちが布団の上に乗ってきたり、戯れたり。その無邪気な猫たちに元気をもらいました。今も何かあったときは猫をぎゅっとすると辛い気持ちが半減して気分が楽になります。

【の】飲み物

 治療中にホットフラッシュが起きるようになってからは、火照った体の温度調節が大変です。そこでいち早く体を冷やしたりできるのが飲み物。冬の寒い時も冷たい飲み物を選んだりして、体内から冷やすことを考えて過ごしました。

 昔は冷たい飲み物を飲み過ぎると体調を崩しやすかったのですが、最近は逆に体調が良くなるような気がします。常に自分の体調を考えているのは大変だけれど、以前より自分を大切にできているのかなって思います。


 第5回は「なにぬねの」をお届けしました! 次回(7月24日公開予定)は「はひふへほ」をお送りします。楽しみにしていてくださいね。

文/矢方美紀 写真/清水友渉