日経doros創刊から続けてきた当連載「矢方美紀のあかさたな」。今回が最終回になります。今まで毎月楽しみにしてくださった読者の皆さん、本当にありがとうございました。また元気にお会いしましょう!

【わ】若さ

 「25歳の若さで」「若いのに大変ね」と、たくさん言われた一年でした。実際に自分でも、この年で病気になるなんてことを改めて認識したし、年齢は関係ないということも知りました。

 病気になったのは自分。自分でなんとかしなきゃいけないし、考え方次第では気持ちの持ちようなんていくらでも変わる、そう思っていた。けれど周りから聞こえてくるのは「無理しているだけだ」「若いのに気の毒」――そんな言葉ばかり。

 自分はもう、そんなことを気になんてしていられない。前を向いて行かなきゃいけないってことを、一体どうやったら周りに伝えていけるんだろう? その答えは出せるか分からないし、答えなんてあるのかも分からないけれど……私は変わらず、笑顔で生きていきたい。それだけ。

【を】ヲタクになる

 私の周りには、ある特定のジャンルに恐ろしいほど詳しく知識を持っている方がたくさんいる。それは、アニメから食、運動、服などさまざまだ。

 私は「ヲタク」ってすてきだな、と思っています。一生懸命に考え、調べ、追いかけて、全力で応援する。毎日忙しく過ごす中で、自分の時間を割いてまで何かに心血を注ぐことは簡単ではないんです。でも好きという気持ちがあるから、愛情があるからこそできる

 自分は何ヲタクなんだろう? 〇〇ヲタクです、って胸張って言えるくらいになるのが一つの目標。まずは、自分のことを知る矢方美紀ヲタクになってみようかな。

【ん】ピンクリボン

 自分が乳がんに罹患(りかん)して、「ピンクリボン」の活動にも参加させて頂くことが増えました。乳がんの正しい知識や検診を通して早期発見・早期治療を目的としているプロジェクトです。

 「病気になってないのに、正しい知識なんて必要ある?」「健康なんだから、検診に行かなくてもいいか」。私はずっとそう思っていました。けれど、自己検診をしてみて乳がんに気づき、自分の体だけでなくココロを知ることの大切さも感じました。

 日本だけでなく、世界規模でさまざまな人が行っている「ピンクリボン」。一人でも多くの方が乳がんについて知る、考えるきっかけを、これからも作っていきたいと思っています。