働き方がますます多様化しています。一日の相当な時間を費やす仕事は、当然ながら、人生においてもかなり多くの時間を費やすこととなります。そう考えると、満足感を得られる働き方を選んでいくことはとても重要です。
しかし、人生100年時代、リタイアメント後も長い……! 女性の平均寿命は87歳ですが、ここ数年、亡くなる女性の人数が最も多いのは90代以上なのです。
約30年もある老後の暮らしも満たすにはどうしたらよいのか。今回は、公的年金をワークスタイル別に考えていきましょう。

「私たちは年金がもらえない」は本当か?

 「私たちの時代には年金なんてもらえませんしね」と、まるで常識のように話す方が増えてきました。

 しかし、正しく理解した上で発言している人は多くありません。そして、そう思うのなら万全の対策をしているかといえば、そうでもない人が圧倒的多数なのです。

 この国の年金制度は、世代間扶養という仕組みを採用しています。これは、私たちが払っている年金保険料は自分の将来への積み立てではなく、今の年金受給者に支払われているということ、つまり現役世代が高齢者層を支えているということです。

 今は少子高齢化が進んでいるため、支え手が減り、年金受給者が増えていくことになります。これでは確かに、「私たちの時代には年金はない」と不安になるのも無理はありません。

 でも、よく考えてみましょう。

 ある日突然、支え手である現役世代はゼロ人になるでしょうか。そんなことはありません。世代間扶養の仕組みは、未来永劫続くわけです。支え手と受給者の人数構成が変わるなら、「年金が減る」とか、「受け取りの年齢が後ろにずれる」ということは想像できますが、「年金がもらえない」「破綻する」という発想は飛躍し過ぎなのです。

まず、公的年金の構造を知る

 公的年金の成り立ちは、世代間扶養とはいえ、一律同額で支えられるわけではありません。現役時代の20歳から60歳までのワークスタイルによって老後の年金額は大きく異なります。

 「公的年金は2階建て」とよくいわれますが、要件を満たす人全員が老後に受け取れる「老齢基礎年金」があり、現役時代に厚生年金保険料を納めたことがある場合は「老齢厚生年金」が加わってはじめて、2階建て構造となります。