私たちが損をせず、制度を十二分に生かして働いていくために必要な「仕事とお金と制度」の基本を、毎月「カレンダー」感覚でお届けする連載です。「今月チェックすべきこと、やっておくべきこと」を、人気ファイナンシャルプランナーで社会保険労務士の川部紀子さんが解説します。人の移動が多い3月は、ぜひこれを気にしてみて。

【3月のカレンダー】3つの社会保険制度を知る!

社会保険制度は、キャリアが変わっても「働く人を守り続けるお守り」

 定年まで1つの会社で勤め上げるのがよしというのはもう過去の話。転職や起業など、若いうちに積極的に複数のキャリアを経験しようという人もいますよね。その際にぜひ覚えておきたいのは、会社や仕事が変わっても一定の期間、効力が続くお守り=社会保険制度のこと。昔話の「3枚のお札」みたいに、ぜひ必要なときに生かすべきです!

人の移動が多い3月、覚えておきたい代表的なもの3つを、「パワフル」な順にランク付けをしてみると……。

 第1位は厚生年金保険、第2位は健康保険、そして第3位は雇用保険です。それでは、順に見てみましょう。

キャリアが変わっても効力は続く3つの社会保険
キャリアが変わっても効力は続く3つの社会保険

【第3位】雇用保険

 雇用保険といえば、ハローワークで職探し中に給付されるお金がまず思い浮かびます。でも、実はそれだけではありません。「学び」を応援してくれる給付もありますよ。

◆いわゆる失業保険=「基本手当」

 一般的に失業保険と呼ばれ、次の仕事を探しているときに受け取るものです。原則、離職の日以前2年間に、雇用保険に加入していた期間が通算して12カ月以上あることが条件です。この間、会社が変わっても間が空いてもOK。加入していた期間、給料、年齢、辞めた理由などにより、受け取ることのできる期間や金額は異なります。

◆求職中のプチ専門学校=「公共職業訓練」

 基本手当を受けている雇用保険受給者が対象で、資格の取得やスキルを磨くことを目的とした講座に無料で通うことができます。テキスト代等は実費負担ですが、3カ月から1年、数万円から数十万円分の講座が受けられます。交通費に当たる通所手当、ワンコインランチ用とも思える1日500円の受講手当ももらえます。求職中は必ずチェック!

◆キャリアアップに生かせる=「教育訓練給付」

 パソコンスキル、各種資格取得など、厚生労働大臣の指定する講座を受けるとその受講料の20%(上限10万円)を受け取れる制度です。こちらは在職中はもちろん、要件を満たせば離職してからの一定期間でも受け取ることが可能です。

★読者の皆さんはすぐに次のキャリアにステップアップできそうなので、雇用保険を3位としました。