2020年は新型コロナウイルスの影響でテレワークなどの新しい働き方にも注目が集まりました。そんな中、大手広告代理店の電通が、2021年1月から新しい働き方を導入することが報じられました。「雇用契約」をしている社員を「業務委託契約」に切り替えて、個人事業主として働いてもらうという方法です。こうした「社内フリーランス化」を推奨する企業は、今後も増えてくる可能性があると考えられます。自分や家族が幸せに働けるよう、雇用契約と業務委託契約の違いやお金の面での注意点を知っておきましょう。

社内フリーランス化は、「起業」です

 会社員は、企業と「雇用契約」を結んで働いています。

 もし、働いている会社から「業務内容と収入は維持した上で業務委託契約に切り替えませんか? インセンティブもある上に他の仕事も自由にできるので収入アップの可能性もありますよ」と言われたら、仕事ができる人ほど魅力的に聞こえるかもしれませんね。

 確かに、今まで以上の収入、さらにやりがいや自由も手に入れられる可能性は十分にあります。

 でも、事前にしっかり知っておくべきこともあります。

 まず、契約の切り替えというのは、「社内フリーランス化」と言えば聞こえは良いのですが、いったん会社を辞めて、制度があれば退職金を受け取り、自営業者(個人事業主)になることを指します。つまり、起業です。

 「そんな起業ってほどじゃないんです。業務委託契約に切り替えるだけで、仕事も収入も今まで通りで、かえって自由が利くし」という考え方でいると、いささか心配です。