世界158ヵ国にネットワークを持つ世界最大級のプロフェッショナルサービスファームであるPwCにて、2012年からPwC Japanグループ全体のダイバーシティ推進リーダーを務める梅木典子さん。doors世代の大先輩として、キャリアや仕事への向き合い方、キャリアの転機、doors世代にぜひ伝えたいことを聞いた。

「“Be yourself. Be different.”皆がありのままの自分で、自分らしい働き方のスタイルを築いていけばいい、ということです」

 PwC Japanグループにおいてダイバーシティ推進リーダーを務める梅木典子さんは、理念をそう語る。

 PwCは世界158ヵ国にネットワークを持つ世界最大級のプロフェッショナルサービスファーム。監査およびアシュアランス、コンサルティング、ディールアドバイザリー、税務、法務などを幅広く手がけている。

 梅木さんは大学時代に公認会計士資格を取得。PwCあらた有限責任監査法人にて26年にわたり会計監査とアドバイザリー業務を担当している。入所6年目・28歳で第1子を、31歳で第2子を出産。それぞれ1年間、半年間の育児休職を取ったものの、その期間以外はフルタイムで働き続けてきた。

 そんな梅木さんがダイバーシティ推進の前身ともいえる活動を開始したのは2010年。世間で「ダイバーシティ」「女性活躍推進」が注目され始める前のことだ。社内の女性を集めてのランチ会、ネットワーキングからスタートし、リーダーとしてダイバーシティ施策を推進。女性が活躍できる制度・環境整備に取り組んできた。

 今では女性職員比率は32%、その内女性管理職比率は17%に上昇。国連が推奨する、ジェンダー平等の実現を主に男性側がリードしていく活動「HeForShe」では、PwCは世界の推進企業10社のうちの1社に選ばれている。

 PwCではダイバーシティにとどまらず、「インクルージョン」を推進。インクルージョンとは、多様な価値観や考え方を持つ人がそれぞれの能力・経験を活かし、一体となって働くことを意味する。PwC Japanでは性別、国籍や文化の違いによる壁を取り払うほか、障がい者支援やLGBTインクルージョンにもフォーカス。多彩な人材の融合により、イノベーションを起こしていくことを目指す。

 梅木さんが自らダイバーシティ&インクルージョン推進に熱を入れる理由。それは「自分が恵まれていたから」だという。「私が2人の子どもを育てながらもキャリアを築いてこられたのは、上司のサポートのおかげでした。でも、社員全員が同様のサポートを受けられる環境にあるとは限らない。だから、後輩の女性や、何らかのマイノリティな事情を持つ人が働き続けやすいように支援したい、会社として制度を整えたい、と思ったんです」