世界158ヵ国にネットワークを持つ世界最大級のプロフェッショナルサービスファーム・PwC。そのPwCのコンサルティング部門であるPwCコンサルティング合同会社のテクノロジーコンサルティング部門において、サイバーセキュリティコンサルタント(※)を務めるのが宮内美里さん。現在29歳、doors世代の中心に位置する。宮内さんがキャリアビジョンをどう描き、仕事にどう取り組んできたのか、キャリアとプライベートの両立にどう向き合っていくのかを聞いた。

※サイバーセキュリティコンサルタント/法人に対し、サイバー攻撃のリスクから重要な資産を保護するための対策やビジネスの推進を支援する。サイバーセキュリティに関して、現状把握と投資効果最大化、体制構築・運用の支援、問題発生時の調査分析・対処などを一気通貫で手がける。PwCのさまざまな部門の能力を結集した包括的なサービスがクライアントから高く評価されている。

「コンサルティング」「グローバル」「ワークライフバランス」を軸に選んだ道

 2018年5月、欧州で新しい個人情報保護法である一般データ保護規則 (GDPR)が施行された。宮内さんは欧州に複数拠点を持つ日本企業に対して、クライアントが法令を遵守できるよう、グループガバナンスの構築、データ移転の対応、システムの評価・整備などを手がけている。昨年は月の半分はオランダ、フランス、イタリア、イギリスなど、クライアントの欧州拠点へ出張。現在は3ヵ月に1度のペースで渡欧している。

「日本の本社で対話する相手は日本人ですが、欧州では現地の方とお話しします。仕事の進め方、考え方、価値観など、あらゆる面で日本人とは違う部分があります。その違いをお互いに理解し合いつつ、プロジェクトを推進していくところに面白さを感じています」

 プロジェクトでは総務部や法務部とのやりとりが多いが、定例報告やクライアントのグループ全体に影響するような組織体制・運用プロセスの変更を行う必要がある場合は、経営層に対してプレゼンを行う。「なぜ法令を遵守する必要があるのか」「そのためにどのような対応が必要なのか」を訴え、ディスカッションを経て納得を得られたときの達成感は大きい。

「クライアントと日々コミュニケーションをとり、要求に応えていくうちに、『別のプロジェクトも一緒にやりたいね』とおっしゃっていただいたり、プロジェクトとは直接関係ないITやサイバーセキュリティの課題に関して相談されたりするようになると『信頼していただけたのかな』と感じることができて、うれしいですね」

 宮内さんがグローバルな仕事に興味を抱くようになったのは高校時代。家族や知人の影響で海外の人と交流する機会が少しずつ増えていった。当初はほとんど英語を話せなかったが、少しずつコミュニケーションをとれるようになると「いろんな国の人と考え方、価値観、経験を共有できるのは楽しい」と思うようになった。

 高校時代は理系だったが、大学は国際系の学部を選択。就職活動では「グローバルな仕事ができる」を軸に複数企業をまわり、外資系ITベンダーに入社した。そこでプリセールス(技術営業)を約4年間務めた後、PwCに転職する。

「前職は、営業・技術・コンサルティングという3つのスキルが必要とされる仕事でした。私はそのうち1つのスキルに特化して、自分の強みとして磨こうと思ったんです。当時、大手小売業のお客様に対してコンサルティングサービスを提供させていただいており、自分の中でしっくりきたことがきっかけで、『コンサルティング業界』に的を絞り、複数の会社に応募しました。また、それ以外にも『海外に本社があるグローバル企業』『ワークライフバランスを両立できる企業』という軸も持っていました。PwCはこの3点を満たしており、かつ実際に女性のコンサルタントが自分のライフステージに合わせて、社内制度を活用し、キャリアとプライベートを両立できていることも決め手でした。あとは『人』です。面接でお会いした社員がプロフェッショナル、かつフレンドリーでもっとも自分にフィットすると感じました」