今までのやり方が全く通用しない大きな壁にぶつかったとき、皆さんはどのように考え方を切り替えていますか? 「WOMAN EXPO TOKYO 2019」で開催された、ダンスプロデューサー夏まゆみ先生による講演「自分軸を定めよう 将来のためのセルフブランディング」では、自分軸を確立して壁を突破する方法に注目が集まりました。人気アイドルの育ての親でもある夏先生の画期的な考え方を紹介します。

前編 夏まゆみ流・長所の伸ばし方 芸能界のエース育成請負人

「女性には無理だ」否定され眠れなかった夜

 カリスマ・ダンスプロデューサーの夏まゆみ先生は、AKB48やモーニング娘。など、人気アイドルの「育ての親」。今までに多くの女性達をエースに成長させてきました。しかし、そんな夏先生にも悔しい思いをした経験があります。

 1991年に吉本興業所属の芸人で結成された、ダンスとお笑いのミックスユニット「吉本印天然素材」を指導したときのことです。若手の男性芸人たちは練習に集中せず、ふざけてばかり。おもむろに服を脱ぎ始めることもありました。ある日、彼らのマネジャーを務める男性に呼び出され、「やっと改善に向けて相談できる」と思ったのもつかの間、そこで言われたのは衝撃の言葉でした。

 「『男性のアシスタントを付けてもらえませんか』と言われたのです。練習が進まない理由は私が女性だから、ということにがく然。不条理以外の何物でもないと思い、その夜は怒りと悔しさで眠れませんでした」

 悩み続けていても、夜が明けて、また指導の時間がやってきます。「考え方を切り替えました。女性の指導者が受け入れられないなら、男性らしく振る舞ってみよう」――翌日から指導方法を変え、男性芸人たちに厳しい言葉で注意をすることにしました。

 「彼らの下品な言動や態度にも目をそらさず、『ほら、練習するぞ!』など、毅然と男性のように振る舞いました。接し方を変えたら、芸人たちは不思議と私の言うことを聞くようになっていったのです。人に環境を作ってもらったり、お膳立てを期待したりするのではなく、誰よりも先に自分が変わるのが大事なのです

「人に環境を作ってもらったり、お膳立てを期待したりするのではなく、誰よりも先に自分が変わるのが大事です」
「人に環境を作ってもらったり、お膳立てを期待したりするのではなく、誰よりも先に自分が変わるのが大事です」