相手が安心して話を聞けるために、最初に伝えることは?

るり子店長 「伝えてるつ・も・り……なんでしょ? ……『伝えている』と言い切れてないわよね。リス子ちゃんは伝えたつもり病なのよ。処方箋出すわね」

リス子 「伝えたつもり病?」

るり子店長 「まず。リス子ちゃん、あれもこれも言わなくちゃ〜って思って、一生懸命過ぎて、話長いでしょ」

リス子 「うっ。なんで知ってるんですか? だって、細かいところまであれこれ言わなくちゃ分かってもらえないんですよ〜。話が長くなるのは当然でしょ? それでもダメなんだから……後輩君は、真剣さが足りないのかも」

るり子店長 「それがまずいのね。あれもこれも言うから、おなかいっぱいなのよ。話の中身が多過ぎるから、後輩君が好きなように整理して解釈するのよ。おまけに、何についてこれから話すのか最初に言ってないし、重要なことは最後に言ってるでしょ。最後だと疲れているからしっかり聞けてないのよ」

リス子 「え〜、おなかいっぱい? たくさん話したらダメなんですか?」

るり子店長 「そうよ。まず、『これから何を話すか』という全容を言ってあげると、安心して聞けるわよね。何の話なのか分からないままだと不安だから、集中して聞けないの。例えば『これから説明する話は、報告書の書き方についてです』と言えば、これからの話は全部、報告書のことだと思って安心して聞けるのね」

リス子 「報告書の書類を見せながら話しているんだから、言わなくても分かると思ってました」

るり子店長 「その『言わなくても分かるだろう』が一番危険。言わないと、好きなように解釈しちゃうから」

言い方を変えるだけで格段に分かりやすくなる

るり子店長 「それから、『結論は、○○です』という言い方にするといいわ。

 例えば、次のどっちが分かりやすい?」

Aパターン:「問題点を記入してください。他には、経緯と経費と今後の対処法も記入項目だから絶対書いてください」
Bパターン:「必須記入項目は、問題点と経緯と経費と今後の対処法です」

リス子 「Bパターン!」

るり子店長 「でしょ。『この書類を書くときに、〇〇ということを注意してください』ではなく、『この書類を書くときの注意点は、〇〇です』と言ってあげると、これから何を話すかが分かるわよね。さらに、話がまとまってすっきりして聞こえるわよね」

リス子 「書類を書くときの注意点は……と、最初に言うのがポイントなんですね」

るり子店長 「そう、聞く人が分かりやすいようにしてあげなくちゃね。そして、あれこれ話すのではなく、要点はせいぜい3つにまとめること。たくさん話をしても、ほとんど忘れるから」

リス子 「私もすぐ忘れちゃいます」

るり子店長 「そうね。リス子ちゃん、すぐ忘れるよね。ここまでの話は覚えてる?

 一つ目は、最初にこれから話す全容は何かを伝える。二つ目が、1文で何を話すかを伝える。つまり『結論は、○○です』という伝え方」

リス子 「覚えてます〜」

るり子店長 「じゃあ、もう一つだけ。1文も短くすること。リス子ちゃんはこんな話し方してるでしょ?

『必須項目は○○で、任意項目は▲▲で、提出日は今週末までで、提出先は総務課です』」

リス子 「そうですけど、何か?」

るり子店長 「1文は1属性にするといいのよ」

リス子 「1属性?」

るり子店長 「一つの文にあれもこれも入れてるのがリス子ちゃんの『伝えたつもり病』の原因なの。『必須項目は○○です。任意項目は▲▲です。提出日は今週末まで。そして提出先は総務課です』と言えば、1文1属性。多くても1文にせいぜい2属性までね」

リス子 「あぁ、そういうことかぁ」