こんにちは、岩田ヘレンです。今のあなたに一番大きな影響を与えているのは誰だと思いますか? 両親? 上司? ライバル的な友人? ……実は、あなたに最も影響を及ぼしているのは、あなた自身が生み出している脳内の考えです。気付けば同じことをグルグル考えたり、ネガティブ・ワードがあふれたりしていませんか?

 前回の「快適ゾーンから一歩踏み出す」ためのエクササイズ、皆さんはうまくできたでしょうか?(前回記事 ⇒ 「ちょっとドキドキ…」その緊張の瞬間に私は成長する!

 「思い切ってやってみました。できました!」。それならOKです! よかったですね。

 「実は、まだやっていません」。おや、それはなぜでしょうか。

 ……時間がなかったからです。……やっぱり勇気が出なくて。……忘れてしまいました。

 一つアドバイスをしてもいいですか。自分をアップグレードしたいなら、自分のことを最優先にする必要があります。私の出身国のイギリスも似たところがありますが、日本では自分より他人を大事にするということが多いですね。でもいつも他人ばかり優先していると、自分が成長する機会を失ってしまうことがあります。

 せっかくですから、セルフエクササイズに関しては自分を優先して、やってみてください。

 さて、セルフエクササイズができなかったあなたは、どんな「言い訳」が浮かんだでしょうか。その言い訳とは、脳内で交わされている自分自身との会話です。今回は、こうした脳内の会話や考えが及ぼす影響と、それをチェンジしていく方法についてお話ししましょう。

無駄な考えでいっぱいになってしまう脳

 雪のシーズンも終わりですが、もう一度だけスノーボードの話をしますね。

 以前、家族でまたスノボに行こうとした際に、17歳の娘が新しいスノボ用のジャケットが欲しいと言いました。娘は新しいジャケットを買い、古いジャケットを私が使うことにしました(私はいつもレンタルのウエアを使っていたんです)。

 私はスノボ用のパンツを持っていませんが、娘が持っているアウトドア用の防水のパンツと娘のお下がりのジャケットを使えば、ウエアを借りなくて済むのでレンタル料が浮きます。でも、もしかしたらアウトドア用パンツはスノボには寒過ぎるかもしれない。今回もパンツだけレンタルすれば、寒さは心配ないけどお金がもったいない……。アウトドア用パンツを使うメリットとデメリットを、ずーっと考えていたのです。

 そして、ふと気が付きました。どうしてこんな重要でもないことをグルグル考え続けているんだろうと、思わずおかしくなってしまいました。

 考えるのをそこでやめて「荷物の中に、もしアウトドア用パンツが入っていたら、それをはく。入ってなかったらレンタルする」と決めて出掛けました。結局、パンツは荷物に入っていて、それをはいてスノボをやり、全く問題ありませんでした。やはり、グルグル考える必要はありませんでしたね。

 でも、皆さんもプライベートや仕事で、無駄な考えにとらわれてしまってはいないでしょうか。

 クライアントの女性の一人から、あるときこんな質問を受けました。

 「会社の同僚に、いつもネガティブなことばかり言う人がいます。それを聞いているとフラストレーションがたまってしまうんです。どうしたらいいでしょう」

 この同僚は、彼女だけでなく、他の人に対しても常にネガティブなのです。それは彼の性格からきており、彼のコミュニケーションスタイルなのです。

 同僚のコミュニケーションスタイルのために、なぜ彼女がフラストレーションをためる必要があるんでしょうか? それは全く無駄なことですね。そんなことのために脳のエネルギーを使うのはもったいないことですね。

 同僚がネガティブなことばかり言う、と批判的になっている自分自身が、まさにネガティブな考えで脳内をいっぱいにしていないでしょうか? 何かがあったとき、それをネガティブに受け取るのは、受け取る側の問題です(その同僚が、彼女ではなく私に同じことを言ったとしても、きっと私はフラストレーションをためません)。