人間が人生で最もたくさん学ぶのはいつでしょうか。それは子ども時代です。子どもは遊びながら、驚くほどたくさんのことを学びます。最近は企業が、ゲーム感覚で遊びながら勉強できるものを競って開発しています。楽しみながら勉強すれば頭に入りやすく、続けやすいからです。

 学生のときは、教科書や授業のノートに楽しくマンガを描いたりしたら叱られたかもしれません。でも今なら、どんなに楽しく勉強をしても誰からも叱られることはありません。絵やマンガが好きな人なら、好きな絵を自由に描きながら勉強すると楽しく覚えられるでしょう。

 私が現在参加しているオンラインの勉強グループで、あるドイツ人の女性が毎週学んだことをすごく上手なマンガにしてくれます。それがとても分かりやすくて頭に入るのです。グラフィックレコーディング(グラレコ)はとても楽しく理解できる方法の一つです。例えば、こちらの記事「気持ちUP+自信がつくコミュニケーション」のように。

 もちろん、勉強の内容によっては絵になりにくいものもありますが、例えば重要な単語を書いて丸をつけて色を塗るだけでも、普通のメモよりはずっとインパクトがあって、頭に入りやすいです。

 それから、自分がとても好きなことは何かを考えて、好きなことと結び付けて勉強してもいいでしょう。

 例えば、英語が苦手だけどTOEICなどの試験を受けなくてはいけないとしましょう。脳科学者の加藤俊徳さんの著書によると、加藤さんも昔、英語がとても苦手だったそうです。でも、研究分野の脳科学の論文は読むのがとても楽しかったので、英語で脳科学の論文をたくさん読むうちに英語が上手になったそうです。料理がすごく好きなら英語で教えてくれる料理教室に参加するとか、好きな俳優がいるなら、その俳優が出演している英語の映画を見るなどいろいろ考えられますね。

「効く」勉強法は人それぞれに違う

 最初に述べたように、効果がある勉強法は人によって違います。

 例えば、何かを暗記するとき、「視覚(目で見る)」から覚える人、「聴覚(耳で聞く)」から覚える人、「触覚(手で書く、触るなど)」から覚える人などがいます。自分にはどのやり方が効くのか、いろいろ試してみるといいでしょう(すごく覚えたいことがある場合は、目で見て同時に耳から聞くなど、複数の方法でインプットするのも有効です)。

 例えば私は、子どものときは視覚からの方法が向いていました。日本に来て、漢字を勉強していたときは手で書いて覚えました。17歳の私の娘は、聴覚から覚える方法が向いています。彼女は今ちょうど試験勉強中ですが、勉強したことを歌にして、歌いながら覚えることがあります。

 勉強するのは1日のうちのいつがいいか、ということもよく聞かれます。これも、朝が向いている人、夜が向いている人などがいるので一概には言えません。ただ、暗記をするのであれば、昼間学んだことを夜、寝る直前にもう一度おさらいすると有効です。

 私は研修をするとき、受講者に必ず「今日学んだ内容は、そのまま引き出しに入れるのではなくて、今日寝る前にもう1回見てください」と言います。繰り返しインプットしないと、脳は必要ない情報だと判断して睡眠中に整理して捨ててしまうからです。

 その日だけでなく1週間後、さらに1カ月後にも見直せば、記憶がさらに定着します。その際に、楽しくきれいに書いたノートであれば、きっと自然に何度も見返したくなるので、さらに覚えやすくなりますね。