「どうせやるなら、ちゃんとやらなきゃ」。そんな「まじめ」な考え方が、自分の成長を妨げているかもしれません。やる気が続かないのも、物事をつい先に延ばしてしまうのも、無意識の「完璧主義」のせいかも? 「岩田ヘレンの自分アップグレード!塾」最終回は、成長に向けてあと1歩を踏み出すためのヒントを届けます。

 岩田ヘレンです。楽しく続けてきたこの連載も、今回が最終回となりました。毎回、少しずつ成長が実感できるように簡単なエクササイズを考えてきました。実際にやってみて、いかがでしたか?

 もしかしたら「エクササイズをやろうと思ったけど、結局やらなかった」という方がいるかもしれませんね。当然のことですが、何事も実践しなければ、変化も成長も得ることはできません。あなたが変化し、成長することを妨げていたものは何だったのでしょうか。

 もしかしたらあなたも、多くのまじめな人たちのように、心の中の根強い「完璧主義(Perfectionism)」にとらわれているのかもしれません。今回は完璧主義の弊害と、その対処法について考えてみましょう。

「やるからにはちゃんとやるべきだ」の意識が妨げに

 2018年12月27日のハーバードビジネスレビューの記事「The Pros and Cons of Perfectionism, According to Research」では、「完璧主義の人は、そうでない人に比べて仕事のパフォーマンスが優れているのか」について、95件の研究結果を調べました。それらの研究は40年間にわたり、約2万5000人の働く人たちを対象にしたものでした。

 その結果、完璧主義の人は、そうでない人に比べて必ずしもパフォーマンスは優れておらず、むしろ長時間労働、ストレス、燃え尽き症候群など悪い影響が多いということが分かりました。「やるからには完璧を目指す」という意識が、実は弱点になっていたのです。

 「私はそこまで完璧主義ではないけど?」と思いますか。では、次のうち、思い当たることはないでしょうか。

・少しでもダメだと思ったら放棄してしまう

 「明日からジョギングをしよう」、「ジムに通おう」、「毎朝○○の勉強をしよう」と決心したとします。でも何回かやるうちに、つい1日休んでしまったら「ちゃんとできないから、もういい」とやめてしまったことはないでしょうか? それこそ、完璧主義の証拠ですよ。

・欲張って手を着けて失敗する

 何かをやるときに「どうせやるのであれば、大きくやらなきゃいけない」と考える傾向はありませんか。大きいことや、盛りだくさんのことを始めようとして失敗してしまう。これも完璧主義者の特徴です。

 例えば、朝のルーティンを始めようとするときに、いきなり「毎朝10kmランニングする!」と決め、挫折して結局やめてしまうようなケースです。

・やらなくてはいけないことを先延ばしにする

 「やろうと思ったけど忙しいから後でやる」という、先延ばしも完璧主義の表れの1つなのです。やるならベストにやりたいから、計画をちゃんと立ててから、などの理由で先に延ばして、結局は時間がギリギリになってしまい、それがすごくストレスになってしまいます。

 みなさんはこれまで学校で、ミスをしないこと、100点を目指して頑張るという教育を受けてきていると思います。その結果として、知らないうちに完璧主義にとらわれていることも多いでしょう。

 完璧主義の傾向が強い人には「仕事へのモチベーションが高い」「まじめな取り組み態度」など、良い点ももちろんあります。しかし「完璧にできない」と思うことにはなかなか取り組めないので、この連載で言ってきた「快適ゾーンから1歩踏み出す」チャレンジには積極的になれません。「0か100か、All or nothing」とつい考えてしまう癖が、成長の壁になってしまうのです。