人生の大きな出費への備え方が様変わりしつつあることは、連載第1回、2回で紹介してきた通りです。それでもまだ、「何も考えたくない」「プランを立てるなんて面倒くさい」と感じてしまっている人、いませんか? 実践編に入る前に、なぜプランを立てることが大切なのかをレクチャーします。

 これからどうなるか、先の見えにくい時代。将来のために資産運用をしたり、パラレルキャリアの構築にチャレンジしたりと、人生の戦略も多様化しています。

 ファイナンシャルプランナーはお金の不安をなくすために、100歳くらいまでの期間の収支をシミュレーションするライフプランをつくるのですが、「変化が激しく、自分の仕事もずっと同じであるかどうかも分からないような時代に、プランをつくっても意味がないのでは?」と感じる人もいるかもしれません。

 でも、そんなことはありません。むしろ、変化の時代だからこそマネー計画が必要だといえるのです。なぜプランが必要か、今回はその3つの理由を解説していきます。

「ミニマムライン」を知らない限り、ずっと不安がることになる

 プランが必要な1つ目の理由、それは自分サイズのミニマムラインを明らかにして、ずっと不安がる人生から決別するため。

 将来、生活費が足りなくなって老後破綻するかも……と不安を持つ人は多いですよね。でも実際に、最低限いくらあれば一生暮らしていけそうかを把握している人は少ないもの。この「ミニマムライン」が分かると、不安はグッと軽減します。

 まずは「1カ月の最低限の必要生活費×12カ月×亡くなるまでの想定年数」を計算してみましょう。

 1カ月の最低生活費を考えるときのポイントは、相場や平均にとらわれず、自分の置かれた環境で組み立てること。家族や友人などの頼れる存在、図書館やスポーツセンターなどの行政施設、シェアハウスやフリマアプリなどの新しいサービスにも目を向けて、生きていくために最低限必要なお金はいくらかを改めて考えてみましょう。

 見当がつかなければ、ミニマリストや節約生活に挑戦する主婦のブログなどを見てみると、「住居費込みで10万円以下」などのやりくり術が暮らしぶりとセットで紹介されているので、ヒントになる例が見つかります。極論として「生きていくだけ」ならそこまでお金がなくても大丈夫だということに気付くはず。

 普段はミニマムラインよりゆとりある生活でOKです。ただ、何かにチャレンジするときや、リストラに遭ったときなどのバッファとして把握しておくと「最悪○円で生活できるから、ちょっとくらいつまずいても大丈夫」とドンと構えていられるようになります。