人生をマネーの視点からデザインするノウハウを、ファイナンシャルプランナーの佐藤麻衣子さんに教えてもらう本連載。実践編として今回は、皆が気になる出産・育児期の働き方を考えます。起業や独立のタイミングに迷っている人、出産しても今の仕事を続けられるかどうか不安に思っている人……。将来子どもを持つことを考えているなら、ぜひ知っておきたいポイントが満載です。

 「仕事は大切。だけどいつかは子どもも欲しいな」――。そんなふうに考えること、ありますよね。

 私は会社員だった10年前に出産をし、産休・育休を取って復帰した経験があります。今は自営業なのですが、働き方を変えてから「会社員のときに出産しておいてよかった」と思うように。それは、初めて子どもを産むという大変な時期に、お金や仕事がなくなる心配をしなくてよかったから。もちろんお金だけが全てではないですが、現状の制度を知ると多くの人がそう感じるのではないでしょうか。

 女性の働き方が多様化している今、出産・育児期のお金について知っておくことはキャリアを考える上でとても大切です。

 働きながら出産をする場合、どのような影響があるのか。納得のいく選択をするために、今からざっくり把握しておきましょう!

起業・独立… その前に考えておくべきこと

 まず知っておきたいポイントは、「会社員」と「フリーランス・自営業」では、入っている社会保険が違うため、出産・育児期の保障において大きな差があるということ。このことを知らず出産前に会社員を辞めてしまうと、キャリアプランや家族計画が変わってしまうかもしれません。

 会社に勤めている場合、出産・育児を理由に休んでいる時期には「出産手当金」「育児休業給付金」というものを受け取れます。これによって休む前の給料の3分の2~半分くらいの収入は保障されます。それだけでなく、給料から引かれる厚生年金保険料や健康保険料も全額免除に。給料がもらえなくても、社会保険のおかげでお金の不安は少なめです。

 一方で自営業やフリーランスの場合、収入を補ってくれるような給付金はありません。保険料の免除額も少ないので、自分で何とかする必要があることを知っておきましょう。