そこで卒業後は海外を旅行することに決めました。もともと根が極端なもので、海外旅行するなら全部行こう、どうせならバイクで行ってやろうと思い立ちました。幸い、当時の愛車がKawasakiだったご縁で川崎重工業にバイクやメンテナンスを提供していただくなど、たくさんの方が応援してくれました。

3年間、バイクで海外を放浪

 そこからおよそ3年、海外を旅行しました。旅行というよりは放浪という言葉が適切なような気がします。オーストラリアを皮切りに、北中南米、ヨーロッパ、西アフリカを周りました。その中でも南米があまりにも魅力的で、かなりの時間を南米に費やしました。エンジェルフォール、マチュピチュ、ウユニ塩湖、パイネ、レンソイス……、挙げていくときりがないほどの広大な自然と、食べ物と人と。スペインもそうですが、ラテン系の人たちはなんというか、人生を豊かに送るすべに長けているのだと思います。当たり前かもしれませんが、人生は楽しいほうがいいのだなと、教えてもらいました。

 ボリビアの標高約3700mの場所にあるウユニ塩湖は、乾季には一面が雪のように真っ白に覆われ、雨季には数センチの水がたまり湖のようになる、とても美しい場所です。雨季はオートバイでは走れないので私は乾季に行きました。仲良くなった日本人の旅行者と一緒に、湖にあるホテルに滞在しました。
 果てしなく続く真っ白な大地は圧巻の風景。そして湖の端のほうには少し水がたまっていて、真っ青な空を鏡のように映し、まさに空を飛んでいるかのような不思議な感覚でした。ちなみに水の中をバイクで走ると、エンジンやマフラーに塩が付いて固まって真っ白になります。

 ちなみに、お金はどうしたのかとたまに聞かれますが、大陸間を移動するのは高いですが、滞在費はそこまでかかりません。南米なら宿泊費も一泊100円程度から。もちろん人や場所によりますが、ゴールデンウィークや夏休みに海外に一週間滞在する費用で、かなり長い期間、旅行し続けることも可能だと思います。

 飛行機で簡単に一周できてしまうほど地球は小さいですし、地球の裏側で知り合いの知り合いに出会うほど社会は狭いですが、一生かけても周り切れないほど世界は広いのですね。でもさすがに最後は疲れて日本に戻ることにしました。