スライド5枚分、1分40秒の英語を丸暗記

 その名も「コミュニケーション・スキル」。

 話し方や身ぶり・手ぶり、プレゼンテーションの仕方などを学ぶ授業です。そもそも私はコミュニケーション能力があまりないと自覚しており、さらにこれまで、人前でプレゼンする機会などほとんどありませんでした。ですので、英語でプレゼンは何度やってもかなり辛かったです。

 最終回の授業で、各チームが二つに分かれ、割り当てられたテーマについて討論する、という課題の発表がありました。「Pechakucha」形式という、スライドが20秒ごとに自動で切り替わる設定でプレゼンする、という難易度の高い条件付きです。Pechakuchaというのは20秒など決められた一定の時間で、自動的にスライドを切り替える形式のプレゼンです。各発表者が20枚のスライドについて20秒ずつ説明するという、2003年に日本で始まったトークイベントが起源になっているようです。

 私たちのチームに与えられたテーマは「闘牛」で、私は反対派。その中で闘牛がいかに残酷かというパートを担当しました。一人の担当はスライド5枚分、1分40秒です。考えながら話せるほど英語が得意ではないので、取れる対策はただ一つ、完全丸暗記。それでも一度つまずいたらアウトです。

 何十回と練習を繰り返し、私が話した内容はこちらです。

 「皆さん、毎年、何頭の牛が闘牛のために殺されているか、考えたことがありますか?ーー20万頭です。槍やナイフで繰り返し切り付けられた牛は、弱り切り、意識がもうろうとした中で、じわじわと苦しみながら死んでいくのです。これは残酷という以外のなにものでもありません!」。私は反対派の先鋒だったので、このような形でプレゼンを切り出しました。3カ月以上たった今でも1分40秒分の文章を丸々、暗誦することができることに今、気付きました。

 最後は何とかいい発表ができましたが、本当に何かと冷や汗をかいた授業でした。他の授業などでもプレゼンの機会はそれなりにあり、かつ、こういう類いのものは慣れ・経験がものをいうので、本当にためになった授業でした。

 3学期に入ってネゴシエーションやエシックスなどの授業が始まりました。チームメンバーも新しく変わり、インド、チリ、ブラジル、エジプト、ポルトガル、そして日本という編成です。夏休みに入る前に、このメンバーと一緒にマスタープロジェクトという課題に取り組むことになります。詳細はまだよく分かっていないのですが