住まいは3LDK+バスルーム2つ、100平米で月約20万円

 ところで、ESADEがあり、私が住んでいるサンクガットという町は高級住宅地。先日、スペイン人の方と結婚されている日本人の女性から聞いたところによると、平均世帯収入がスペインで2番目の地域なのだそうです。1番は首都のマドリードの郊外にある町とのことでした。その女性はサグラダ・ファミリアの近くに住んでいるのですが、家を購入するときにサンクガットにも引かれて見に来たそうです。家賃はバルセロナと同程度で、私が住んでいる、いわゆる3LDKでバスルームが2つ付いている100平方メートルほどの部屋が月約20万円です。こちらに引っ越してきたときは本当に選択肢がなくてやむを得なかったのですが、1年たつのを機に、できるだけ安い物件に引っ越したいと考えています。

 サンクガットのいいところは、治安が良く、人が親切で、子どもが多いところです。子どもの好奇心をそそるさまざまな遊具がある公園が、徒歩圏内にたくさんあるところも、とても気に入っています。また、とにかく歩道が広く、中心部はいわゆる歩行者天国で車が入ってこないので、安心して子どもと歩けます。町の恐らくシンボルであろう修道院の前は大きな広場になっていて、そこを取り囲むレストランやバルのテラス席で大人がコーヒーやビールを飲み、子どもは広場で走り回る、というのが日常の風景です。修道院の前に限らず、テラス席の前に公園があるお店がいくつもあるので、子ども連れには恐ろしく優しい環境といえます。

 サンクガットは良くも悪くも、国際的な観光都市バルセロナの雰囲気は感じられません。そして、独身の学生には刺激的な町ともいえません。ESADEの学生のほとんどはバルセロナ中心部に住み、片道約30分、電車に乗ってサンクガットまで通っています。「ESADEがバルセロナの中心部にあったらよかったのに」という学生の声も多く聞きます。

 逆にサンクガット在住では、バルセロナ市内に数えきれないほどある観光名所をなかなか見て回ることができません。私は「その気になればいつでも行ける」という感じでこのまま、サグラダ・ファミリアにすら行かずに1年を過ごしてしまいそうです。

 サンクガットのシンボル、修道院です。市のホームページによると9世紀に建てられた歴史のある建物です。建物の正面の入り口前には大きな広場があり、この場所は正面向かって右の側面から修道院を見た写真になります。

 ところで、日本のゴールデンウイークの少し前に、スペインでは約10日のイースターの休暇があります。冬休みにバレンシアに行った以外はバルセロナから出ていなかったので「どこかに行こう、どこかに行こう」と思いつつ、間際まで日程を確定できませんでした。さらに休暇期間の飛行機代の高さも相まって、結局、バルセロナから電車で1時間ほどのタラゴナという町に2泊することで落ち着きました。我が家からだと歩きや乗り換えを含め2時間ほどです。

 タラゴナはローマ時代の遺跡が豊富で、世界遺産に指定されています。中でも、アーチがきれいに残る水道橋は2世紀頃に作られたもので、ローマ時代に作られた水道橋としてはセゴビアに次ぐ規模です。現存するのは全長217メートルですが、当時は35キロメートルもあったそうです。高さ27メートルのその水道橋の一番上の部分は幅1メートルもないくらいの水路になっていて、今はそこを歩いて渡ることができます。下を見ると結構怖いです。

 今回は近場で終わりましたが、次回はぜひ、チュニジア辺りになんとか行けたらいいなと思っています。バイクで旅行中、行きたかったのに行けなかった場所の一つです。バルセロナからだとなんと、直行便でたったの1時間半強の旅です。