日本経済新聞社での記者の仕事にピリオドを打ち、2018年7月末からスペインのバルセロナへ。ESADEビジネススクールのMBAコースで学ぶ竹本恵さんの連載です。この最終回では、ご自身の結婚・出産、仕事と家庭の両立を振り返り、20~30代の働く女性へのエールを送っていただきます。

結婚・出産は頑張った分だけ報われる…わけではない

 いよいよこの連載も最終回となりました。月並みですがこの半年、思い返せばあっという間に過ぎました。新しいことに挑戦する刺激と、その中でも日々の何気ない幸せを存分に味わった期間でした。今回は20~30代の働く女性を応援したいという気持ちを込めて、思いのたけを書いていきたいと思います。

 20~30代は女性にとって、とてもいい時期であり、その分とても難しい時期だと思います。夢と希望と愛と勇気にあふれ、時にそのいくつかに敗れ、時にそのいくつもに敗れ、強くも弱くもなる時期です。気力と体力が満ちていき、そして残念ながら、放っておくとそれらを徐々に失っていく時期でもあります。

 そして何より、結婚や出産など人生の転機を経験する時期でもあります。私には一般論として「結婚はすべきだ」とか、「子どもを持つべきだ」という価値観はありませんが、でも望んだ結婚や出産が人生における大きな幸せの1ページを彩るということには間違いありません。

今となっては懐かしい、ファイナルプロジェクトのメンバーたち。彼らとともに取り組んだのは、「アフリカでマーケティングリサーチを行っている会社が新たに投資ファンドを立ち上げたいというので、その戦略を提案する」という内容のプロジェクトでした。知識もバックグラウンドもなく、かなり辛かったです。

 実際に結婚や出産をするかどうかにかかわらず、結婚や出産について考えることとすら無縁で生きていくという人はかなり少数派でしょう。結婚しない人、子どもがいない人は以前より増えてきましたが、するにせよ、しないにせよ大きな決断です。そして、自分の思い通りのタイミングで自由に選択できるものでもありません。それに、人生は何があるか分からないもの。私のように、小さい頃から結婚したいとも子どもが欲しいとも全く思ってこなかった人間でさえ、今こうして結婚し子どもが二人いるくらいです。ついでに離婚もしています。

 勉強やスポーツは、成長曲線に従っておおむね、自分が頑張れば頑張った分だけ報われるものです。仕事も、勉強ほどではないにしても、ある程度は努力と結果に相関関係があるのではないかと思います。しかし、結婚や出産ともなるとそうはいきません。

 正直なところ、結婚はそこまで生活に劇的な変化はもたらさないのではないかと思っていますが、出産というかむしろその後の育児は、人生を変えます。思い通りにいかないことだらけで、でもとてもいい意味で、思ってもいなかったことだらけです。