お尻に火をつけたのは、アメリカでのショック体験

 2018年3月、取材旅行と称してアメリカ西海岸に行きました。Amazon本社のあるシアトルを訪れたり、サンフランシスコのゲイタウン・カストロや、ヘルスケアテックのスタートアップ企業にリサーチに……しかし、まあ言葉が出てこない

 「Amazon Goのセンサー技術は、内製なの?」
 「カストロは家賃もバカ高いけれど、それでもここで暮らすのはなぜ?」
 「対面で診断してもらう安心感は、テクノロジーで代替できる?」

 ゆっくり考えれば英語に置換できるものの、速い時間軸の中で生きる現地のビジネスパーソンを前にしたら、まず焦ります。ましてや、Google翻訳を片手に悠長なコミュニケーションをとっていられるはずもなく。

 何事も「ゴール設定」がすべてだといいますが、私はこのとき「英語でスムーズに取材活動をできるようにすること」が私のゴールだなと気付きました。私が「多少話せる」と信じ込んでいたのは、しょせんワッツアップ英語だったのです(ワッツアップ英語:バーなどで話すカジュアルな英会話のことを勝手にこう呼んでいる)。

サンフランシスコのカストロ地区で出会ったお兄さん方。半分くらいしか理解できなくてごめんね
サンフランシスコのカストロ地区で出会ったお兄さん方。半分くらいしか理解できなくてごめんね

 帰国後ご縁があり、コーチング英会話「TORAIZ」の1年間の英語マスタープログラムにお世話になりながら、時にDMM英会話のようなオンラインサービスも並行して取り入れています。具体的な学習方法は長くなるのでまたにしますが、一言で言うなら、習慣化さえできてしまえば、こっちのもんです。学習を始めて1年弱、スモールトークは余裕、プロフェッショナルな会話もなんとか、というレベルまで来ました。

 そして、発信はやはり大事です。いくら頑張って勉強しても、仕事が入らなかったら……なんて案じていたのですが、「今、英語の勉強めっちゃ頑張ってるので、英語案件お声掛けください!」とFacebookやTwitterでポストしたら、数カ月で10件ほど外国関連の仕事のオファーを頂きました。イスラエルのスタートアップや、世界的VCのイベント取材など。これだけ翻訳テクノロジーが発達していても、十分ニーズはあるんですね。

 国外の情報は、翻訳記事で十分との意見もあるかもしれません。けれども、日本生まれ日本育ちの私というフィルターが、聞き手として介在することに意味があるはず。

 連載のタイトルを「グローバル」ではなく「ユニバーサル」にしている理由もここにあります。私が超えていきたいのは、国境だけでなく、文化や宗教や性別やライフスタイル。言語を学ぶことで、いろいろな価値観のボーダーを超えていきたい、「違い」を脅威ではなく面白さと捉えたい、そんな世界を広く伝えていきたいという願いからです。この連載では、私の独断と偏見で「ユニバーサルやなあ~」と思った人たちにインタビューをしていきます。