大胆な決断をする秘訣は?

マリエ:関谷さんは、いつも大胆な決断をされますよね。高校留学も、起業も、渡米も。それぞれの局面でもちろん不安はあると思うんですけど、どうやって不安な気持ちと向き合っているんですか?

関谷:そうですね、実は私は心配性なので、いつも最悪のケースを想定しているんです。起業した時も、仕事が来なかったときのために、自分が生活していく上で最低限必要な費用を洗い出して、独立前に半年分の生活費を貯めました。年間の美容予算も厳密に決めていたので、気分で美容院に行くみたいな、やみくもな出費はなかったです。

マリエ:やみくもな出費。PayPay祭りの時、ノリでApple製品を買っちゃった私としては耳が痛いです。

関谷:そうそう、そういうの(笑)。でも気付いたのは、最悪なケースなんてほとんどやって来ないんですよね。それに準備をすれば、最悪は最悪になり得ないので。半年間全く収入がなかったら、それは自分のやり方が悪いか、その業界に合っていないということなので、切り替えようがありますし。

マリエ:準備をすれば、最悪は最悪になり得ない。心強いお言葉ですね。関谷さんは、やりたいと思ったら、やらない選択肢はないんですね

関谷:「気が済む」ってことが私の人生にとってはすごく大切で。思い切り頑張った結果がダメだったとしても、挑戦しないと気が済まなかったんだからそれでいいんです。

マリエ:もう一つお聞きしたいのは、関谷さんはどうやって「やること」を決めているんだろうということです。こんな仕事がしたい、こんな勉強がしたい、恋愛もしたい。脳内で「ああしたいこうしたい」が暴れていて、1日24時間じゃ全然足りないんですよね。

関谷:私は毎年「これだけは必ずやる」ということを一つだけ決めているんですよ。

マリエ:一つだけですか? もっと綿密に計画しているんだと思っていました。

関谷:計画しても、人生は思い通りにいかないことばかりですからね。スタンフォードに行く前年の目標は、「スタンフォードの出願書を完成させること」でした。一つだけでいいから、結果はどうであれ、これだけは絶対やり遂げる、ということを決めておくと、日常的な行動の優先順位もつけやすくなります。

マリエ:なるほど、一つというのがポイントなんですね。

関谷:実はその他にも、100個くらいやりたいことは書き出しているんですけどね。「絶対にやり遂げたい」と言ったって、望んだことがすべてかなうわけじゃない。スタンフォードに合格しない可能性もあったわけなので。それでも私は「気が済む」人生を歩むために、できない理由より、やるための方法を探す方が素敵だなと思います。

マリエ:私も「気が済む」人生にしたい。関谷さんの生き方を見習って頑張ります。ありがとうございました!

ユニバーサルな女からの学び
・環境の変化によって「努力の習慣化」ができる
変化は嫌いじゃない、むしろ好きという関谷さん。環境が変わった直後、例えば転職直後などは、新しい環境に慣れるために一時的にパフォーマンスが下がります。それを取り戻すかのようにギアを上げるから、「変化→努力」のワンセットができるというのが関谷さん理論。前提として「トップ集団に追い付くんだ!」というマインドセットも大切ですね。

・英語は、語彙の豊富さより「言葉選び」が重要
受験英語を経験していると、とにかく語彙を増やすことに終始してしまいますが、ビジネスシーンなどの実践的の場では、こなれ感のある言葉選びが重要。「最低限伝わる」レベルに達したら、次は「効果的に伝えるには」を考えること。

・最悪なケースは、準備をすれば最悪じゃなくなる
不安なときは、不安の正体が分かっていないことが多いです。「何が不安か」を要素分解してしまえば、あとは具体的な解決法を考えていくだけです。関谷さんの場合、独立の時に不安だったのは「お金問題」。エクセルに書き込んで可視化したら、仕事が全くこなくても半年間は大丈夫だと分かり、かえって安心材料になったのだそう。

・目標は、年に一つだけ。自分の「気が済む」ための選択を
あれもやりたい、これもやりたいと欲張った結果、年末に振り返ると「やばい、結局何もできてませんが」と焦ることがあります。関谷さん方式は、とにかく一つだけ。あらゆる分野で目標を立てがちな私からすると目から鱗でした。2019年から、すぐにまねします!

文/ニシブマリエ 写真/稲垣純也