カリスマと呼ばれる同時通訳者・関谷英里子さんは、いかにして輝かしいキャリアを歩んできたのか。「ユニバーサルな女」を目指すライター・ニシブマリエがインタビューする。

学びのお品書き
【前編】留学中はトイレでも勉強 カリスマ通訳者の少女時代
・環境の変化によって「努力の習慣化」ができる
・英語は、語彙の豊富さより「言葉選び」が重要
【後編】(今はココ)
・最悪なケースは、準備をすれば最悪じゃなくなる
・目標は、年に一つだけ
・自分の「気が済む」ための選択を

学びのために仕事を休止 その勇気は?

マリエ:追い風のさなか、関谷さんはすべての仕事を断って、スタンフォードの大学院に通うために渡米するんですよね。

関谷:そうですね、2014年のことでした。

マリエ:学びのために仕事を休止するって、すごく勇気のいる決断ですよね。定期収入がなくなる生活なんて、不安で震えそう。どんな心境だったのでしょう?

関谷:本を出版して、NHKのラジオ英会話を4年ほどやらせていただいて、「関谷英里子」のブランドもだんだん浸透してきていたんです。でも、本を書いたりテキストを作るっていうのは、ものすごいアウトプットで。自分の持っている知見が枯渇していく感覚があったので、どこかで思い切りインプットしたいなと思っていました。

マリエ:知見が枯渇、よく分かります。スタンフォードはMBAですか?

関谷:はい、経営学修士課程です。ただスタンフォード大学経営大学院の場合、2年間フルタイムコースはMBA (Master of Business Administration) とし、1年間フルタイムコースではMSM (Master of Science in Management)としています。私は1年間のコースに行きました。マネジメントを学び直したいなと思っていたので。

マリエ:ノリにノっていても、何か経営上の課題感があったんですか?

関谷:事業をやりたくて起業したはずなのに、ブランディングを強化するあまり、気付いたら「パーソナリティ関谷英里子」が強くなってしまっていて。経営者というより、通訳者の自分が大きくなっていたんですよね。私が現場に行くことがプロモーションになるし、それ自体がコンテンツになる。ありがたいとは思いつつも、やっぱりビジネス側に軌道修正したかったんです。

マリエ:そうなんですね。はたから見ると表舞台ってキラキラしてて憧れますが。ちなみに、どうしてスタンフォードだったんですか?