ロンドン市内に3つのお店を構えるうどん店「KOYA(こや)」でエグゼクティブシェフを務める小田周子さんに、「ユニバーサルな女」を目指すライター・ニシブマリエがインタビューします。
(後編「小田周子『持続的に働くためにちゃんとブレーキを踏む』」)

「自分だけの価値観」に素直に生きる

2010年4月にロンドンのSOHOにオープンしたKOYA1号店の厨房に立つ、小田周子さん
2010年4月にロンドンのSOHOにオープンしたKOYA1号店の厨房に立つ、小田周子さん

 自分の手で自分のキャリアを創るって、実はすごく難しいこと。どの高校に行くか、どの大学に行くか、そもそも進学をするか、どこで働くか――選択肢は無限大のはずなのに、どうしてかいつも手が届くくらいの選択肢が2つ3つあるだけ。過去を振り返ると「周りがどんなチョイスをしているか」に私はずいぶん左右されてきたな、とため息が出る。

 今回お話をうかがったのは、ロンドン在住の小田周子さん。周子さんは、ロンドン市内に3つのお店を構えるうどん店「KOYA(こや)」を営んでいます。

 お父さんの仕事の関係でロンドンに生まれた周子さんは、日本、米国ロサンゼルス、ロンドンを転々とした後に、慶応義塾大学に進学。その後さらに名門のロンドン大学ゴールドスミス・カレッジの大学院でインタラクティブメディアについて学びますが、卒業してロンドンのアパレル会社に一旦就職し、数年後にうどん屋をオープン。

 私が周子さんのようなキャリアの持ち主だったら、きっと当然のようにバリキャリの道を選ぶんだろうな。「自分だけの価値観」に素直に生きる周子さんに、人生の様々な局面でどのような選択をしてきたのかをお聞きしました。

「実は個人的にはそばのほうが好きだったんです」
「実は個人的にはそばのほうが好きだったんです」
学びのお品書き
【前編】(今回はココ)
・手段と目的、どちらを大切にするか
・自分の苦手なことは、得意な人がやればいい
【後編】
・どこでも授乳できる英国と、授乳室の整備された日本
・ウエルビーイングな「顔が見える経営」

ロンドンの住人に「本当の日本食」を味わってほしい

ニシブマリエ(以下、マリエ) ロンドンってとにかく「Fish and Chips」のイメージなので、うどんってウケるのかなあってのが最初に浮かんだ疑問で。でも数年のうちに3店舗も出されているんだから、きっとすごく繁盛しているんですよね?

小田周子さん(以下、周子) ありがたいことに、そうですね。2010年4月に1号店をSOHOにオープンしたんですけど、最初の1週間はそう繁盛しなかったんです。そこから口コミで一気に広がって、忙しすぎて最初の1カ月の記憶がないです(笑)。

マリエ すごいなぁ。当時「UDON」というのはすでにポピュラーだったんですか?

周子 いや、そんなに……ですね。いまだにラーメンのほうが人気ですし。

マリエ ウケるか分からないロンドンで、どうしてうどんだったんですか? うどんLOVEだったとか?

周子 私個人としては、実はそばのほうが好きだったんです(笑)。