「誰かホリデー行きたい人行っていいよー?」

マリエ 「KOYA」の話に戻りますが、従業員は何人くらいいるんですか?

周子 3店舗で50人くらいですかね。

マリエ 多いですね。気になったのが、子どもをつくるタイミング。経営者や個人事業主って、常に事業を回し続けなければいけないので、いつ結婚しよう、いつ子どもを産もうってなかなかイメージが湧きづらいんじゃないかなって。子は授かりものだから、コントロールできるものではないかもしれないけど。

周子 そうですね、一人目のときは全然計画していなくて。

マリエ 結婚と出産はどのタイミングだったんですか?

周子 2010年に「KOYA」をオープンさせて、翌年の2011年に結婚しました。第1子は2015年12月生まれで、第2子が2018年12月生まれですね。

マリエ 出産は「KOYA」を軌道に乗せた後だったんですね。

周子 そうですね。一人目は計画せずでしたが、二人目はお店のタイミングは考えましたね。共同経営者のジョンも2児の父なので、お互いのタイミングがかぶらないように「来年あたり、二人目いいかな?」って意思疎通はしていましたね。

マリエ そもそも、イギリスの仕事に対するスタンスって日本と比べてどうですか?

周子 「やることやって、休みを取る」って感じです。みんなとにかく休み方が上手ですね。「私はいついつまでにこれを終わらせるから、この期間休みを取ります」と宣言して、周囲もオッケーって感じ。ヘッドシェフたちは有休の上限日数以上に休むんですけど(笑)、私としても、みんな頑張ってるから全然問題ないです。

マリエ ボスたちが有休以上に休むってめちゃいいですね。部下も休みやすくなりますね。

周子 お店を見渡して、最近ホリデーを取っている人がいないとなると、「誰かホリデー行きたい人行っていいよー?」って声が上がるんです。

マリエ すごい、誰かが休んでいるのが前提なんですね。私はサラリーマン時代、探り探り休暇を取ってましたね。権利はあるのに使っていない人がたくさんいたから。休暇のための根回しがすごく大変だった記憶があります。

周子 もちろんロンドンにも仕事大好き人間はいるんですけど、やっぱりどこかでリフレッシュしないと仕事も充実しないですよね。持続的に働くために、ちゃんとブレーキを踏むって人がロンドンは多いです。

マリエ 「持続的に働くために、ちゃんとブレーキを踏む」。私も肝に銘じます。

ロンドンSOHOのKOYA1号店にて(写真/本人提供)
ロンドンSOHOのKOYA1号店にて(写真/本人提供)