ロンドンで人気のうどん店「KOYA」のオーナー兼エグゼクティブシェフを務める小田周子さん。前編「ロンドンのうどん店『KOYA』小田周子から見た世界」では、周子さんが名門・ロンドン大学院を修了してから、ロンドンでうどん店を始めるまでの人生の選択や、それを支える方法やルールにとらわれない価値観についてお聞きしました。周子さんは2018年12月にロンドンの自宅で第2子を出産し、仕事の量を調整しながらも経営と育児を両立しています。後編では、ロンドンでの子育て事情や心地のいい働き方について教えてもらいました。

学びのお品書き
【前編】
・手段と目的、どちらを大切にするか
・自分の苦手なことは、得意な人がやればいい
【後編】(今回はココ)
・どこでも授乳できる英国と、授乳室の整備された日本
・ウエルビーイングな「顔が見える経営」
ロンドンのうどん店「KOYA」オーナー兼エグゼクティブシェフの小田周子さん(右)とニシブマリエ

一時帰国して気付いた。日本の親たちは大変だ!

ニシブマリエ(以下、マリエ) 周子さん、ロンドンのご自宅で出産されたって本当ですか?

小田周子(以下、周子) そうです、二人目はホームバースでした。一人目は病院だったので、二人目は要領も分かっているしいいかなって。産んだ一時間後には助産師さんと一緒にお茶を飲んでましたね。

マリエ 周子さんの超人ぶりが半端ない……。イギリスだとよくあることなんですか?

周子 そこまでポピュラーではないけど、日本よりは多いんじゃないかな。NHS(イギリスの国営医療サービス)という制度下では、医療費が基本的に無料なんですね。みんなが医者にかかりたがるものだから診察まで1カ月待ちなんていうのもザラで。ホームバースは病院にとって経費がかからないので薦められることがありますね。

マリエ ホームバースだと家に助産師さんが来てくれるんですよね。どのタイミングで来てくれるんですか?

周子 自分次第ですね。最初の陣痛ですぐ呼ぶ人もいるし、私はずっと「うーん、まだ大丈夫」と気楽に構えていたので、むしろ夫のほうが「いや早く呼んで!」とひやひやしていました(笑)。

マリエ 助産師さんが到着する前に産まれちゃうとかもありそう。

周子 助産師さんは3人来てくれるんですけど、私はメインの一人が来てくれたらあっという間に陣痛が進んじゃったので、残りの二人が到着する頃にはもう終盤でしたね。すごく早くて、最初の陣痛から2時間半で産まれました。

マリエ あんまり分かってないんですけど、2時間半ってきっと相当早いですよね。病院とホームバース、両方経験してどちらが良かったですか?

周子 私はホームバースが良かったですね。病院は複数の妊婦さんがいるけど、ホームバースは私一人だから、より親身に感じました。生まれた直後の赤ちゃんも家で診察してもらえるから心配はないし。

マリエ へえ~、そうなんですね。私は心配性だから、ホームバースは勇気がいるな。

周子 初産だったら、病院が安心ですよね。

マリエ 周子さん、ロンドンでの子育てはどうですか? 日本は子育てに寛容じゃないってたびたび問題視されるんですよ。赤ちゃんを連れて電車に乗るときも、外食するときも、周囲に迷惑をかけないように親たちは肩身の狭い思いをしているんですよね。