シングルマザーを中心に50人が応募

美緒 私も疲れてきてしまって、もうお店を閉めようかとなったときに、ふとある出来事を思い出したんですよ。当初から雇っていた仕事ができるシングルマザーのスタッフに「あなたみたいな人がもっといたらいいのに」と言って募集をかけてみたら、2~3人のポストに50人以上が応募してきたんです。ほとんどがシングルマザーで、職がなくて困っていたんです。

マリエ それで、シングルマザーを雇うことにしたんですね。

美緒 私自身も3人の子どもがいるんですけど、高級路線だった頃は、母親らしいことをする余裕がなくて。自分を含むお母さんたちが安心して働ける場を作りたくて、2018年にシングルマザーによる「KISEKI・第2弾」が始まりました。

マリエ 何人くらいが働いてるんですか?

美緒 スタッフとしてお給料を払っているのが15人で、あとはコミッション関係が9人です。

「KISEKI」のスタッフが大集合。皆さんいい笑顔
「KISEKI」のスタッフが大集合。皆さんいい笑顔

マリエ コミッション関係?

美緒 KISEKIの店の敷地内にある庭にお店を出す、テイラーや、野菜を売ったり、マッサージをしたりするママたちのことですね。名前や場所を貸してお客さんを呼びやすくする代わりに、売り上げの何割かをKISEKIに入れてもらうことにしています。

マリエ 指圧もあるんですね。

美緒 日本ボディーケア学院の学院長ご一行がルワンダを訪れて、学歴も職歴もないママたちに技術を教えるプロジェクトを実施したんです。そこで2名のセラピストが認定され、その後も月2~3回はオンラインでレッスンを受けています。ほかにも最近だと、アーティストの鈴木掌さんとコラボして、スラムの中から絵の才能がある子どもに描き方を教えるプロジェクトもやっています。

マリエ お金を稼ぐ場所としてだけじゃなく、技術を教える場所でもあるんですね。

美緒 何せ求人リストにはまだ50人以上の名前が載っているので、もっと雇用を生み出したいんですよね。KISEKIの給料は、正直安いです。でもここで働き方やお金の稼ぎ方を学んで、どんどん卒業していってほしいんですよ。

マリエ 職業訓練所みたいな。

美緒 そうです。地域のコミュニティから「お金をあげろ、寄付しろ」とせっつかれることもあるんですけど、私はタダでお金をあげることは絶対にないです。そんなことをしても本質的な解決にならないから。ママたちには借金もあるし、給料を渡してもすぐに使っちゃうので、お金の生み方を学んで、持続的に稼げるようになることが大切だよな、と思います。

聞き手のニシブマリエ。ルワンダのジェンダー観を首都・キガリと農村部で取材
聞き手のニシブマリエ。ルワンダのジェンダー観を首都・キガリと農村部で取材