痩せるためではなく、人生を楽しむために体を動かす

 「ニューヨークで様々なフィットネスクラブやエクササイズ、ヨガスタジオを訪れましたが、レッスン自体も痩せることを目的としたものがほとんどなく、健康維持や心身のリラクゼーション、仕事のパフォーマンスアップのための体力増強を目的としたものが多いのです」

 実際、早朝5時からオープンするスタジオが大半で、出勤前に体をほぐしたり、汗を流したりして頭をクリアにしてから仕事に臨む人が多いのだとか。

 「レッスンを受けても、インストラクターの口からダイエットやシェイプアップなどの言葉は出てこないですし、そもそもインストラクター自身がほっそりスリムではありません。例えるなら、ビヨンセのようにグラマーでボディにメリハリがある、カービィな(曲線が美しい)スタイルの人が多いです」

 和田さんがスタジオで知り合ったというエイミーさん(30代・不動産会社勤務)も、週2回、出勤前に通っているが、ダイエット目的ではないそう。

 「体を動かすと気持ちがいいし、ハードな仕事もタフに乗り越えられるから。痩せようと思ったことはないけど、おしゃれを楽しめる体にはなりたいわね。自分の体を愛しているから、おしゃれも人生も思う存分楽しめる体になるのが理想」(エイミーさん)という言葉に、和田さん自身、共感を覚えたという。

暗闇の中で行う「トランポリン」を使ったエクササイズや「ボクササイズとバレエ」「瞑想と有酸素運動」などユニークな組み合わせのレッスンも多い、ニューヨークのジム
暗闇の中で行う「トランポリン」を使ったエクササイズや「ボクササイズとバレエ」「瞑想と有酸素運動」などユニークな組み合わせのレッスンも多い、ニューヨークのジム

 「ニューヨークに来ると毎回思いますが、ダイエットをしなきゃという切迫感がなくて、自分なりの楽しみを追求しながらエクササイズしている雰囲気が伝わってきます。様々な人種が共存しているので、体形もサイズも人それぞれ、『自分は自分で人と比べるのはナンセンス』という考えが根付いているからかもしれません。こうした考え方を取り入れることでダイエットの呪縛から解放され、もっと気楽に、ポジティブに体と向き合えるんじゃないかなと思いますね」