経験3年未満でも転職すべき人

 リクルートキャリアで主に20代の転職相談に応じている沖野沙代子さん、20代ハイキャリア層の転職サポートを手掛ける茨木涼子さんによると、同じ年齢・経験でも転職すべき人と転職すべきではない人に分かれるといいます。

 まず、早く転職することが好ましいのは、明らかに社風が合っていない、自分が目指していることが実現できないという場合だといいます。

 例えば、どんどん新しいことにチャレンジしたいという気持ちが強かった、20代前半の女性の事例。「新しいことに取り組もうとすると、『余計なことをするな』と怒られてしまう保守的な風土が合いませんでした。結果、チャレンジ精神が旺盛な人を歓迎している企業に転職を果たしました」(沖野さん)。

 また重要な仕事を担当して早く成長したいというタイプの女性は、「新卒で大手メーカーに入社しましたが、年功序列で30歳でも一人前として認めない風土であることが分かり、早々に見切りをつけました。今では、同じメーカーでも20代で新規事業のプロジェクトリーダーを任される企業で活躍しています」(沖野さん)

転職すべきでない人って?

 一方、「早まって転職しないほうがいい」「辞めてしまうのはもったいない」というケースもあります。

 茨木さんは、「今の会社にとどまっていれば、いずれ希望のポジションに就ける可能性もあるのに、そこに目を向けていない人もいます」と説明します。転職に踏み切る前に、今の会社でやりたいことを実現するにはどうすればいいか、道はないのかを探ってみるのが先決。「あと数年経験を積んで26~27歳になり、やはり転職したほうがいと判断したとしても、異分野へ転職できるチャンスはあります」(茨木さん)

 また、「そもそも、自分が本当に求めているものを理解できていない人は転職するべきではない」と沖野さん、茨木さんは口をそろえます。

 「言葉では『チャレンジしたい』『成長したい』と言いつつ、実は年収、福利厚生、企業の知名度やステータスを気にしている人も多いと感じます。大手企業にいる人であれば、今、満足しているものを手放してでもやりたいことがあるのかどうか、自問自答してみてください」(茨木さん)

 転職によってすべてが手に入るとは限らないし、もしかすると失うものもあるかもしれません。それに若いうちは周囲の人が言うこと、勧めることに惑わされがちですが、自分の価値観に素直に向き合ってみることも大切です。

 「ビジネスにおいては優秀でも、転職活動においては自分の考えを自分の言葉で話せない人は少なくありません。考えが深まっていない状態では、企業も採用したいとは思わないし、転職できたとしても後悔することになります」(沖野さん)