大卒で新卒入社した人の約3割が3年以内に辞める――そんなデータがあります。「石の上にも3年」という言葉があるように、「つらくても3年間は続けるべき」といわれますが、本当のところはどうなのか? 社会人経験1~3年程度の第二新卒層~20代の転職について考察します。

第二新卒・20代の転職市場は活況!

 転職情報サイト『リクナビNEXT』編集長の藤井薫さんによると、第二新卒・20代にとっての2019年の転職環境は活況。企業の採用意欲は旺盛で、経験を生かして異業種にキャリアチェンジできるチャンスが豊富です。20代後半女性の転職決定者の数は、ここ10年間で3倍以上に伸びています。

20代後半女性の転職ニーズは急激に高まっている
20代後半女性の転職ニーズは急激に高まっている

 特に求人が多いのは「無形サービス」を扱う業界。今やメーカーや流通業も含め、あらゆる業界がデジタルの力を生かしたビジネスモデルへの転換を迫られているといいます。

 「AIやIoTを始め、進化したテクノロジーをビジネスの競争力に転換する段階にあり、マーケティング、企画営業、開発、事業スタッフなど、あらゆる職種で人材が不足している状態なのです」と藤井さんは説明します。「AIのせいで私たちの仕事がなくなるかも……」と不安視する声もありますが、むしろAIによるビジネスの転換によって、新しい人材が求められている状況なのです。

 全般的に人材採用が活発であることから、人材業界も人員を増強しています。「多くの企業が事業変革や新規事業の創出、働き方改革などに取り組んでいる背景から、コンサルティングのニーズも高まっており、コンサルティング業界でも大規模採用を行っています。いずれも新卒採用を増やしていますが、充足していないため、補完として第二新卒層にも門戸を開いています」(藤井さん)

IT・ネット業界をはじめ無形サービス業界の求人が活発
IT・ネット業界をはじめ無形サービス業界の求人が活発

 つまり「入社3年未満で転職する人はマイナス印象」ということはなく、歓迎する企業は多いということ。なお、3年以上のビジネス経験を積み、まだまだ柔軟性もある20代後半は、もともと転職市場ではニーズが高い層。異業界へのキャリアチェンジも十分可能な環境です。もちろん、求人数は景気によって左右されますが、少なくとも2020年の東京オリンピックまでは現在の活況が続くでしょう。

 さらに急激な生産年齢人口の減少と高齢化で、企業の変革をリードする人材不足は構造的に続くと考えられます。

 「いずれにしても、変化の時代。そうした変化に主体的に仕掛けられるか? 自らの持ち味を開拓し、生かす成長機会へ自らを立たせ続けられるか? 自らのキャリアのオーナーシップの有無が問われる時代なのです」(藤井さん)