転職先の会社でどんなスキルを磨けるか

 「会社で嫌なことがあって、衝動的に転職エージェントに相談に来る方が20代には多く見られます。そして、『不満の解消』を転職の理由・目的に据えてしまう。例えば『残業や休日出勤が多い! ちゃんと休める会社に行きたい』といったようにです。けれど、その人にとって一番大事なことは別のところにあることが多いんです。転職決意のきっかけが不満であったとしても、『自分にとってのやりがいは何か』『何を大切に働いていきたいのか』をしっかり考えて、今後のキャリア設計をしましょう。最初にお話ししたように、アピール材料を探すうちに自分の強みが見えてくることもあります。その強みを生かせるようなキャリアチェンジの道を探ってみるのもいいと思います」(長谷川さん)

 江崎さんは「人材としての価値を高めることを意識して」とアドバイスを送ります。

 「転職先の会社でどんなスキルを磨けるか、という視点を持ってください。今現在は、女性の場合、出産や夫の転勤などを機に、キャリアの方向を転換せざるを得ないような状況になる可能性が高い。いつか再び転職市場に放り込まれた場合、評価されるスキルを身に付けていれば選択肢が増えます。また、業界が今後成長するかどうかにも目を向けましょう。衰退していく業界では、100頑張ったとしても、転職市場での評価は70~80にとどまってしまう可能性がありますから」(江崎さん)

 「強みを生かせるか」「やりがいを感じられるか」「人材としての市場価値を高められるか」――その視点を大切に、転職先を選ぶようにしたいものです。

長谷川貴子(はせがわたかこ)
リクルートキャリア キャリアアドバイザー
長谷川貴子(はせがわたかこ) エージェント事業本部・カスタマーサービス部のマネジャーを務める。キャリアアドバイザー歴は8年。主に事務職、営業職の女性のキャリア支援を行ってきた。
江崎麻里奈(えさきまりな)
キャリアデザインセンター キャリアアドバイザー
江崎麻里奈(えさきまりな) 前職ではエステサロンのカウンセラーや店長を経験。転職市場の裏側を知りたいという探求心と、人生の大切な決断である転職の意思決定で背中を押したいという思いからtype転職エージェントのキャリアアドバイザーへ転身。

取材・文/青木典子