20代で転職に臨む際には、「まだまだ経験が浅い」「十分な実績を挙げていない」という点で、選考で不利になることもあります。そうした「経験・スキル不足」をカバーするために、どんなことをアピールすればいいのでしょうか。20代の転職サポート経験が豊富な二人のキャリアアドバイザーからのアドバイスをご紹介します。

自分の「当たり前」がアピール材料になる!

 これまで3000人以上の転職希望者へのカウンセリングを行ってきたリクルートキャリアのキャリアアドバイザー・長谷川貴子さんは、「自分には大したスキルはないと思い込んでいて、自分の強みに気付いていない20代は多い」と言います。

 「自分では当たり前のようにしていることが、他者から見れば価値があると評価されるケースはよくあります。例えば、ある金融機関の営業事務の女性は、おとなしい雰囲気で緊張が表情にも出やすい方。けれど普段のお仕事についてじっくり聴いてみると、法やルール改正などに伴う事務作業マニュアルの更新を、上司からの指示ではなく自らの問題意識から自主的に行っていたのです。『もしミスが起きると組織に大きなダメージを与える』と視座を高く考えて、他の誰もやっていないことを地道に続けていました。そのエピソードを面接で話すようになってから、選考を通過するようになったんです」(長谷川さん)

 その他、同じ営業事務でも「担当営業が落ち込んでいるときにさりげなく励ます」「営業不在時に顧客とやりとりをした際に、会話内容から先々のニーズを探って、営業担当に伝える」「プレゼン用の資料作成、顧客にアピールしたいポイントを絞り分かりやすい資料作成を心がけている」など、工夫していることは人それぞれ。それがアピール材料になり得ると言います。

 「自分では気付いていない強みを知るためには、上司や同僚に聞いてみてはいかがでしょうか。『私の長所や他者にはない持ち味があれば教えてください』と。また、業務上のスキルだけでなくヒューマンスキルもアピール材料になりますから、家族や友人に改めて尋ねてみてもいいでしょう。思いがけない答えが返ってくるかもしれません。『同僚・友人からはよくこう言われます』という『第三者評価』を面接で語るのは意外と有効なんです」(長谷川さん)

学生時代の経験や社外活動を語るのも効果あり

 一方、『type転職エージェント』を運営するキャリアデザインセンターのキャリアアドバイザー・江崎麻里奈さんは、「会社員経験以外の経験をアピールしてもいい」と言います。

 「20代前半の方であれば、今の仕事よりも学生時代にしていたアルバイト経験のほうが期間が長く、濃いということもあるでしょう。その中で工夫したり努力したりしたことを伝える手もあります。あるいは休日に行っている活動――例えばコミュニティーに参加して何らかのテーマの活動に取り組んでいる、知人の会社を手伝っている、ボランティアをしているなどの活動と、それを通じて学んだことを伝える。実際、面接でそれを語って高評価を得た方もいらっしゃいます」(江崎さん)