転職するからには、今抱いている不満や不安を解消し、やりがいある仕事や働きやすい職場を手に入れたいもの。とはいえやはり「お金」も大切ですよね。短期的に、そして長期的に「お金の面で損しない」ためには、転職活動の際にどんなことに注意しておけばいいのか、どんな情報を仕入れておくべきなのかをお伝えします。

 転職時に関わるお金の話は次の4つ。

1.転職時に必要な資金
2.退職のタイミングで、もらえるお金が変わってくること
  ・保険
  ・ボーナス
3.年収交渉対策
4.育児休暇を含めた生涯収入の視点

転職前に会社を辞めるなら当面の生活資金を確保

 まずは、転職前後の「お金」について考えてみましょう。

 リクルートキャリアで転職活動をサポートするコンサルタント・鈴木章代さんと野田まゆ子さん、ファイナンシャルプランナー・社会保険労務士・キャリアカウンセラーとして活動する井戸美枝さんにお話を伺いました。

 「仕事が忙し過ぎて、働きながらの転職活動なんて無理!」――そんな状況の人は少なくないと思います。いったん退職してから、転職活動に挑む人もいることでしょう。

 でも、注意したいのが転職活動中の生活資金。転職活動中は給与がありません。安心して転職活動に打ち込むためにも、当面の生活資金は、あらかじめ蓄えておくことが大切です。

 では、会社を辞めて転職する場合、どれくらいの「資金」があればよいのでしょうか。

 最低でも半年程度の生活資金を確保しておいたほうがいいと話すのは鈴木さん。その根拠は?

 「応募から内定・入社までの期間は平均すると3カ月程度。選考期間が長引いたり、なかなか決まらなかったりすることもあるでしょう。そして、転職して初めての給与が振り込まれるのは、入社から1~2カ月後くらいです。合わせると、約半年は無収入の状態が続くと考えておくとよいでしょう」(鈴木さん)

 資金を確保せずに転職活動を始めると弊害が起きると野田さんは指摘します。「無収入期間が長引くと、焦りから妥協して入社を決めてしまい、また転職を繰り返すことになりかねません。なるべく会社を辞めずに転職活動することをおすすめします

 最近では、平日の早朝や夜間の面接、休日の面接、Web面接などを行う企業も増えています。「高評価を得た人であれば、内定から入社まで2~3カ月の猶予をもらえることもあり、引き継ぎ期間も確保できる。今なら働きながら転職活動がしやすい環境があります」(野田さん)