自分らしく働き続けたい! なりたい自分を実現するためには起業もひとつの選択肢。最近では、そんな女性を応援する制度も増えており、起業を目指すならぜひ知っておきたいもの。働き女子の夢をかなえる女性・若者・シニア創業サポート事業を活用して、起業を実現した女性たちに話を聞いた。

座談会参加者
片桐実央さん
地域創業アドバイザー 銀座セカンドライフ代表取締役 行政書士

大学卒業後、企業内で法務・コンプライアンスやIPO支援の仕事を経験。祖母の介護をきっかけに一生を通じて生きがいを感じる生活の支援がしたいと、2008年にシニア起業サポートを行う銀座セカンドライフ株式会社を設立。地域創業アドバイザーや、セミナー交流会、レンタルオフィスなど起業家支援を幅広く手がける。

城宝薫さん
テーブルクロス代表取締役

祖父の影響で小学生の頃から起業志向があり、中学・高校時代から社会貢献活動に携わる。2014年、大学3年生の時に社会貢献型の飲食店予約アプリを手がける株式会社テーブルクロスを設立。
城宝さんが手がける事業とは?
消費者が飲食店を予約すると、飲食店からテーブルクロスへ広告費が支払われ、その中から給食支援に必要な費用をテーブルクロスがNPOへ寄付。それによって途上国の子どもたちへ給食が届けられる。

渡部美咲さん
合同会社サーブアベックブリオ代表社員

大学卒業後、IT関連企業に就職。介護サービスの仕事に3年間携わる。2016年にITを駆使した介護事業所向け情報サービス業を行う合同会社Servir Avec Brio(サーブアベックブリオ)を設立。代表社員に就任。
渡部さんが手がける事業とは?
高齢者向けの訪問介護の事業所にITソリューションのコンサルティングを行う。事務処理をIT化することで業務効率を上げ、介護サービスの人員不足の解消など、高齢化社会の問題解決につなげる。

 東京都の融資メニューである「女性・若者・シニア創業サポート事業」は東京都信用金庫協会・東京都信用組合協会・地域創業アドバイザーが連携し、低利融資、事業計画アドバイス、創業後の経営サポートをパッケージ化して提供し、地域に根ざした創業を支援する事業。地域創業アドバイザーとしてこの事業に携わる片桐実央さん、実際にこの事業を利用して起業した城宝薫さん、渡部美咲さんの3人にお話を伺いました。

地域に根ざした金融機関といい関係性を築く

片桐実央さん(地域創業アドバイザー、銀座セカンドライフ代表取締役、行政書士)
片桐実央さん(地域創業アドバイザー、銀座セカンドライフ代表取締役、行政書士)

片桐さん(以下敬称略) 私も10年前に起業をしたので分かりますが、「社会の役に立つ事業を起こしたい」と考えても、起業には様々な困難が立ちはだかります。そんな困難も信用金庫、信用組合を通じて有利な条件で融資を行う「女性・若者・シニア創業サポート事業」を活用すれば、道が開ける。そう感じています。

城宝さん(以下敬称略) 私は海外でストリートチルドレンを見た時に社会課題として子どもたちの貧困に興味を持ちました。祖父が起業家だったのもあり、起業を志していましたが、高校1年生の時にアメリカで単純な寄付やボランティアではなくビジネスと融合する形で社会課題を解決する考え方に出合いました。その後、考えたビジネスのアイデアは飲食店の広告費の一部を途上国の給食支援にまわすというもの。でも、飲食店メディアの制作には費用がかかります。どう資金を用意しようと考えていた時に女性・若者・シニア創業サポート事業を知りました。何より驚いたのは固定金利1%と低金利なこと。「これなら融資を受けた方がいい!」と思えました。

渡部美咲さん(合同会社サーブアベックブリオ代表社員)
渡部美咲さん(合同会社サーブアベックブリオ代表社員)

渡部さん(以下敬称略) 私も昔から起業したいと漠然と思っていましたが、大学卒業後はIT企業に就職。配属された部署は訪問看護サービスの事業者向けの業務ソフトの開発をしていました。そこで3年間、お客さまサポートを担当し、介護サービスの現状を知りました。看護師さんは訪問記録を書くなどの事務処理に時間をとられ、訪問件数が限られてしまうという問題点があったのです。その部分のIT化を進めることで高齢化社会の問題解決につながるのではないかと思ったのが起業のきっかけです。信用金庫の方に女性・若者・シニア創業サポート事業のことを教わり、使ってみたいと思いました。東京都の事業ということで家族の安心も得られると感じました。

城宝薫さん(テーブルクロス代表取締役)
城宝薫さん(テーブルクロス代表取締役)

片桐 融資するのは信用金庫と信用組合という地域に根ざした機関。そういう金融機関との関係性を築く手続きをできるだけスムーズに進めていただきたい。そのためのサポートを私たち地域創業アドバイザーが行っています。

渡部 融資申込時には丁寧な面談をしていただき、審査も「こんなに速いの?」という印象でした。

城宝 私は起業時、まだ大学生でしたが、この事業のおかげで金融機関の方とも問題なく話が進み、とてもいい関係性を築かせてもらっています。