一力さんが教える「セルフプロモーション」のポイント

 一力さんに、ご自身の経験と多くのクライアントへのコンサルティング経験にもとづく「セルフプロモーションのやり方」を教えていただきました。

「他人は本音を言ってくれない」と認識し、客観的視点を持つ

「あなたが選んだファッションに対して、『他人は本音を言ってくれない』ということを認識すべきです」
「あなたが選んだファッションに対して、『他人は本音を言ってくれない』ということを認識すべきです」

 ビジネスにおける「セルフプロモーション」において、まず意識すべきこと。それは自分のファッションに対して「客観性を持つこと」だと一力さんは言います。

「今はオフィスでもカジュアルな服装が受け入れられているので、ファッションの選択肢が豊富。自分の好みの服を自由に着ることができます。しかし、あなたが選んだファッションに対して、『他人は本音を言ってくれない』ということを認識すべきです。女性は『それ、可愛い』『おしゃれだね』と共感を表明してくれることはあっても、『それはちょっと』という警告や批判は口に出さないもの。ましてや職場の男性は、ほめてもけなしても『セクハラ』と言われるリスクがあるため、そもそもコメントを口にしません。一方、男性同士を見ていると『お前、謝罪に行くのにそのネクタイはないだろう』といった会話が交わされています。男性はそんなちょっとしたコミュニケーションを通じてビジネスファッションのルールやセンスを身につけているのに、女性はそんな機会が少ない。だからこそ、自分の見た目をちゃんと意識し、管理していく必要があります。『流行っているから』『楽だから』『好きだから』いう自分主体の考え方ではなく、相手にどう思われるかという客観的視点を持つことが重要です」

自分なりの「オン」「オフ」のドレスコードを持つ

「先ほども触れたとおり、今はオフィスでの服装の自由度が高く、服を選ぶのに迷うこともあるでしょう。そこでお勧めしたいのは、『オン』『オフ』のドレスコードを自分の中で設定しておくことです。例えば、『会社内ではジャケットを着る』『パンツはセンタープレスにする』といったように。このときのドレスコードは、会社基準より少し厳しめにするといいと思います。自分をビジネスモードに切り替えるためのドレスコードを設けることで、自分の仕事や仕事相手にはどんなファッションが適しているかを常に意識することができるでしょう。また、仕事関連の人とオフで会ったときには『そんな服も着るんだ』といった意外性を見せることもできます」

見た目を変える前に、「意識」を変える

 一力さん自身、20代の頃には「セルフプロモーション」に失敗した経験もあるといいます。

「私はもともと童顔で、話し方もおっとり。『見た目にインテリジェンスが感じられない(笑)』なんていじられて、それをコンプレックスに感じていた時期がありました。だからそれをカバーとしようとして、本当はフェミニン系の服が好きなのにモード系のブランドばかり着て、『デキるキャリアウーマン』なビジュアルを演出しようとしていました。でも、30歳くらいのときに『違うな』と。見た目がふにゃふにゃしていても、やるときはやる、締めるときは締める。そんな意外性のある自分でいいんじゃないか、と思ったんです。それからはファッションも自然体になりました」

 一力さんはコンサルティングを依頼してくる人に対しても、必要に応じて意識改革を促すといいます。

「ある会社員女性は、『自分は都合よく使われる存在』という受け身の姿勢でした。しかし、よくよく話を聞いてみると、信頼されているがためにいろいろな仕事を振られている様子が見えてきたのです。そこで『目線を2段階ほど上げてみませんか』と提案。その方は、自分が任されたことに主体的に取り組むことで、組織を引っ張っていく役割を担えることに気付かれました。そうしてメイク、ファッションとともに自身のポジションへの意識を変え、貫禄あるオーラをまとうようになったのです。

 セルフプロモーションの効果は、見た目だけでなく意識から変えることで高まります。自分はどんな女性になっていきたいのか、自分を見せるターゲットはどのような人たちなのかを考え、ゴール設定をしましょう」