父親世代に教えたい!早期発見が大切な前立腺がん

藤井 前立腺がんも増えていると聞きました。その原因は何でしょうか?

森山 乳がんと同じように、食の欧米化も影響しているかもしれませんが、生物学的な問題が大きいと思います。人間の体は日々、細胞をコピーしています。でも、老化してくるとコピーミスが出てきて、その中のひとつががんになります。前立腺はそれを起こしやすいといわれています。前立腺がんが増えているということは、長生きする人が増えてきたということで、寿命がいまより短かった時代には前立腺がんになる人はほとんどいませんでした。

安原 私の父は63歳なのですが、実は少し前に検査で前立腺がんの疑いがあるといわれ、家族でとても心配しました。結果として違ったのですが。

<b>安原伶香さん</b><br>和スイーツ研究家・株式会社HANARE取締役。実家は江戸時代中期から12代続く老舗の和菓子屋を営んでおり、13代目を継承。和スイーツプロデューサーとしても活動している
安原伶香さん
和スイーツ研究家・株式会社HANARE取締役。実家は江戸時代中期から12代続く老舗の和菓子屋を営んでおり、13代目を継承。和スイーツプロデューサーとしても活動している

森山 前立腺がんは腫瘍マーカーの一種のPSA検査と呼ばれるもので採血のみで調べるのですが、以前は前立腺肥大でもひっかかってしまうのが困りものでした。最近は精度が上がり、がんか前立腺肥大か、ある程度判別できるようになりました。

藤井 採血のみで分かるのは、ハードルの高い検査ではないですね。もし、前立腺がんと判明した場合、どのような治療をするのでしょう?

森山 手術すると尿もれなどの後遺症が出ることもあるので、放射線治療のほうが体への負担が少ないといえます。でも、進行していると、治療法の選択肢が少なくなってしまうため、早期発見することが大切です。

安原 男性は女性以上に自分の体のことに無頓着だったり、プライドがあったりして、検診に行かないこともありそうです。私たち娘世代が「お父さん、検診を受けて」と呼びかけるのは大事かもしれませんね。

森山 そうですね。まずは血液検査をすればいいだけですから、「60代はなりやすいから行ってね」といってもらえるといいですね。あと、もうひとついっておきたいのは、検診を受けて異常が指摘されても、再検査や精密検査に行かない人が日本人には意外と多いんです。これは乳がんにも前立腺がんにもいえることですが、「忙しいから、行く暇がない」というのを言い訳にはしないでいただきたいですね。

安原 「自分の身は自分で守るしかない」ということですね。

森山 そうです。

藤井 さまざまな情報が溢れる現代ですが、きちんと知識を得たうえで、検診を受けることが大切ですね。本日はありがとうございました。

 (取材・文/中澤小百合 写真/小林大介)