スカウトされて芸能美容家に。施術経験は3万回以上

 松本さんは、元々は一般企業の事務職に就いていた、いわゆる普通の働く女性。どんなきっかけで芸能美容の世界に足を踏み入れることになったのでしょうか。

 「実はスカウトがきっかけでこの世界に入ったのです。美容への興味関心はありましたが、芸能美容の知識や経験は何もないところからのスタートでした。創始者のジャッキー・ウー氏に師事し、長年経験を積み重ねた結果が今の私の姿です」。松本さんのこれまでの施術経験は3万回以上。女優からの支持も厚く、1日に6〜7人のケアを行うこともあるそうです。

元気、美しさ、ときめきを提供することが私たちの使命

 「下は10代から上は70代くらいまで。日本人だけでなく外国人も含めた様々な女優さんの体と日々向き合っています。この仕事は、短い時間で女優さんを要望通りの体型に変化させるための美容知識、マシンを操る技術と経験、最先端の情報を持ち続けることが必要である一方で、華やかさと不安定さを併せ持つ世界で生きる女優さんの心に寄り添い、転んでも起き上がれる勇気や元気のエネルギーを与えてあげることも必要です。そんな存在になれるよう、自分磨きも大切にしています」

 忙しい毎日ながら、この仕事がとても楽しいと話す松本さん。「施術中に女優さんと交わす会話は刺激的。お褒めの言葉は私自身のやりがいにつながります。関わった女優さんがテレビやスクリーンで輝いている姿を見ると、自分のことのようにうれしくなりますね」

女優にワクワクドキドキを与えられる存在に

 松本さんは芸能美容界の草分け的存在。先駆者としてどんな存在でありたいか、理想の芸能美容家像について聞きました。「芸能美容家とは『幸せを与える人』『影響力を与える人』『人の輪を広げる人』であると教わりました。私自身は『元気、美しさ、トキメキを提供すること』が使命であると考えています。まだまだ理想の姿には辿り着いていませんので、常に向上心を忘れず、前向きかつ着実に歩みを進め、この業界を牽引していく存在でありたいと思っています」

 最後に、どんな人が芸能美容家に向いているのでしょうか、松本さんに意見を聞きました。「ポジティブ志向で刺激を楽しめる人でしょうか。日頃からそんなオーラを放っている人のところに運が訪れ、道が開けるのではないかと思います」

 ふんわりとした優しい雰囲気を纏った松本さん。しかし彼女の言葉の端々からは、静かながらも熱い、プロフェッショナルとしてのエネルギーが感じられました。

映画関係者とのミーティング。依頼や意向に柔軟に対応できる能力が芸能美容家には不可欠。衣装協力:MagnifemM(マニフェム)

取材・文/鈴木友紀 写真/木村和敬