5月8日(水)から6月18日(火)まで、大丸松坂屋百貨店では、“THINK PINK! THINK BLUE!”と題し、乳がんのピンクリボン活動、前立腺がんのブルークローバー活動を応援するキャンペーンを実施。その一環として大丸京都店と大丸札幌店にて、フリーアナウンサーの高橋真麻さんをスペシャルゲストに、『THINK PINK! THINK BLUE! みんなで知ろう!啓発トークショー』が開催されました。今回は、買い物途中の女性たちが数多く足を止めた大丸京都店にて開催されたトークショーの様子をレポートします。

乳がんの早期発見のカギはマンモグラフィ検査とエコー検査の併用

 この日の登壇者は、スペシャルゲストのフリーアナウンサー高橋真麻さん、京都府立医科大学大学院 内分泌・乳腺外科学 主任教授で、ピンクリボン京都実行委員長の田口哲也さん、日経BP総研メディカル・ヘルスラボ所長の藤井省吾さん、上席研究員の黒住紗織さんの4名。黒住さんの進行により、トークショーがスタートしました。

 前半のトピックは乳がんについて。周知の通り、近年は何人もの有名人がこの病気に罹患していたり、なかには命を落としてしまう人の報道も。まずは田口さんが、乳がんの現状について次のように説明しました。

 「乳がんの罹患者数は年々増え続けており、日本人女性の11人に1人が乳がんになると言われています。でも、今や乳がんは、医学の発達により8割5分は助かる病気です。そして、早期発見によりさらに多くの人が救われます。早期発見のためには定期的な検診と日頃のセルフチェックが、なにより重要です」

田口哲也(たぐちてつや)さん
京都府立医科大学大学院 内分泌・乳腺外科学 主任教授、ピンクリボン京都実行委員長

 現在、日本における乳がん検診の指針は、40歳以上で2年に一度のマンモグラフィ検査が基本。それは、40歳ごろから発症が急増するからです。でも気になる方は、ぜひ20代からでも検診を始めてほしいと田口さんは言います。

 「ご存知の通り、日本では20代、30代でも若くして乳がんになる方がいらっしゃいます。検診は25歳くらいからスタートし、まったく異常がなければ、40歳になるまでは5年に一度くらいのペースで受けていくといいと思います」

 ただし、乳がん検診において、特に若い世代に知っておいてもらいたいことがあると田口さん。「乳房の乳腺密度が濃い状態をデンスブレスト(=高濃度乳房)と言うのですが、そうした方は、マンモグラフィ検査をしても、乳腺の白い影に乳がんのしこりとしてあらわれる白い色が隠れてしまい、見つけにくいという実状があります。実は、日本人女性の閉経前の方の多くがデンスブレストに当たります。その場合は、エコー検査を併用することをおすすめします。エコー検査は、乳腺の密度に関係なく、がんが見えるという長所があるからです」

 すると、高橋さんが「それなら、エコー検査だけではダメなのですか?」と、誰もが思う素朴な疑問を田口さんに聞きました。

 それに対し田口さんは、「とてもいい質問ですね」と言ってこう説明しました。「エコー検査で見つかる乳がんは、すでに転移する可能性のある段階のがんという場合が多いのです。一方、マンモグラフィ検査では、ごく早期のがんが見つかる場合があります。マンモグラフィだけでがんが見つかった人は、ほとんどが助かります。ですから、検診としてはこちらが先なのです。ただ先ほども話した通り、マンモグラフィはデンスブレストの人の乳がんを見つけにくいという欠点があります。今後については、公費で補助が受けられる対策型検診で、マンモグラフィとエコーを併用する検診の導入が検討されており、すでに研究は進められています。一方、自費で受ける人間ドックでは併用検診はもう行われていると思いますので、若い方は、ぜひ両者を併用してほしいと思います。ちなみに、マンモグラフィ検査は、生理開始から1週間後くらいの乳房が柔らかくなる時期に受けると、比較的痛みを感じにくいと思います」

 さらに田口さんは、「セルフチェックは、乳がんを克服する入口として極めて大切です。実際、我々の外来に来られる患者さんの3~4割が、自分でしこりを見つけて受診されています。月に一度は、お風呂などで、鎖骨の下から脇、乳房をくまなく触って、石ころのような硬いしこりがないかチェックしてみてください」と、セルフチェックの大切さについても言及しました。

 田口さんの話を聞きながら、しこりタッチ模型を実際に触ってみた高橋さん。「すごく硬い。本当に石ころがあるみたいですね。これはセルフチェックの習慣さえあれば見つけられますね。この感触をよく覚えておきます」

 また、田口さんは、「乳がんは、早期に発見すれば治療できる病気です。以下のようなポイントに当てはまる人は乳がんにかかるリスクが高いので、若いうちから定期的に検診を受けてほしいと思います」と話します。


 ・50歳以下で乳がんを発症した血縁者がいる
 ・卵巣がんになった血縁者がいる
 ・血縁者の男性に乳がんになった人がいる
 ・乳がんになった血縁者が3人以上いる
 ・BRCAという遺伝性乳がんの遺伝子変異が確認された血縁者がいる
 ・血縁者に初発乳がんを2個以上発症した人がいる